仕事中、PCに「コーヒー」がこぼれ故障! 上司に「10万円弁償しろ!」と言われていますが、本当に払う必要はありますか…?
仕事に没頭するあまり、注意が行き届かず会社の備品を壊してしまったことがあるという人もいるのではないでしょうか? 仮にPCをはじめとした電子機器類など高額な物品を破損したのなら、会社側も簡単には「おとがめなし」とすることはできないでしょう。 もしも始末書の提出などに加え、会社から弁償するよう求められたら、労働者はお金を払わなければならないのでしょうか? 本記事では 、仕事に集中している時にコーヒーをPCにこぼして壊した際に、「10万円」の弁償を求められた場合の対応について解説しています。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
会社が弁償を求めること自体はあり得る
本件のように、PCの故障という事故の原因が労働者の過失である場合、会社が労働者に弁償を求めること自体は違法ではありません。そのため、労働者自身が過失を認めて双方同意のもと、弁償をするということはあり得ます。 なお、多くの会社では就業規則の中に「故意または重大な過失により会社に損害を与えた時に、会社は従業員にその損害の賠償を求めることができる」といった趣旨の記載があります。
「重大な過失」または「故意」とはなにか
「重大な過失」とは、従業員の単なるミスではなく、わずかな注意で避けられたはずの過失のことです。例えば、徹夜で遊んで出勤し、勤務中に居眠りをしたことが原因で会社の備品を壊した場合は「重大な過失」として、損害賠償を求められる可能性もあります。 「故意」とは、自然にしていたら起こらないことをあえてすることです。例えば従業員が会社に嫌がらせをするために、わざと備品を壊した場合などが該当します。 そのため、就業規則にこのような記載がある場合、コーヒーをPCにこぼして壊してしまったとしても、重大な過失がなく故意がなければ弁償する義務はありません。仮に今回とは別のミスも引き合いに出されたとしても、今回の弁償とは基本的には無関係です。過去のミスも含めて責められたとしても、PCの破損とは別の問題として捉えましょう。
仮に弁償する場合でも全額はやりすぎ! 給与からの天引きも違法
仮に重大な過失があったとしても、会社は従業員に損害額の100%を弁償させることはできません。 会社には事故を未然に防止し、たとえ損害が起こった場合でもその被害を最小限に抑えるように努める危機管理義務があるためです。そのため、もしもPCが10万円だったとして、その全額を弁償しなければならないということは基本的にはありません。 ちなみに、条件を満たして労働者が弁償をする場合でも、給料から天引きをすることは労働基準法第24条により違法です。
もしも弁償を求められたらどうすべきか
仮に会社の備品を壊し、損害賠償を請求された場合、まずは就業規則を確認しましょう。とはいえ、事故や故障といってもその程度や内容はさまざまです。また、責任の所在や賠償金額は個々のケースでかなり変わってきます。 状況にもよりますが、不当な請求だと感じた場合、弁護士などの専門家への相談も検討しましょう。 出典 e-Gov法令検索 労働基準法 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部