ツバメの巣、「カラスが近づけない」網を張って見守り…佐賀市の公民館に日本野鳥の会が感謝状
日本野鳥の会(東京)は、ツバメの巣作りから巣立ちまでを見守って手助けしてくれたとして、佐賀市大和町の春日北公民館に感謝状を贈った。独自に行ったカラスからの保護対策など、温かみのある取り組みが評価された形だ。(鹿子木清照) 【写真】宮原支部長(左)から感謝状を受け取る高山館長
公民館の高山昭彦館長(65)によると、ツバメが巣作りをするようになったのは3年前から。公民館の軒先に気に入った場所を見つけ、巣をかけるようになったという。今年は玄関の上部に初めて巣を作り、4月中旬に産卵して5月末に5羽が巣立った。今月24日頃には再び、同じ巣で温めていた卵が孵化し、親鳥がせっせと餌を運んでいる。来月中旬には巣立つ見込みだ。
高山館長は昨年、公民館の別の場所に作ったツバメの巣が壊され、5羽いたヒナを失ったつらい思い出がある。「カラスが巣を蹴落としてヒナを食べてしまったのだと思う。守ってやれなくて本当にかわいそうだった」と振り返る。カラスは今も周りを飛んでいるため、同僚らと「二度とあんな目には遭わせない」と決意。玄関の上部にある巣の周りに園芸用の網を張り、大型の鳥が近づけないようにした。
先月末に巣立った5羽が成長する段階では、餌をねだる鳴き声や忙しく飛び交う親鳥の姿を見た公民館の利用者らから「かわいい」や「無事に育って」などの声が上がっていた。巣の下には、フンが通路に落ちないようダンボールで手作りした受け箱を設置し、利用者らへの配慮も忘れなかった。
感謝状の贈呈は、日本野鳥の会が2019年度から始め、24年度は全国18都府県の24団体が対象になっている。佐賀県内では昨年度、唐津市厳木町にある道の駅厳木「風のふるさと館」が受賞し、春日北公民館で2度目。25日に感謝状を贈った同会県支部の宮原明幸支部長(70)は「巣作りしづらい構造の家が増えてツバメには厳しい環境だが、こうした取り組みで支えていただき本当にありがたい」と話していた。