自我が芽生えた2歳児は傍若無人!? 微笑ましい“あるある”満載の子育てエッセイ『エモーショナル赤ちゃん期』【書評】
人気漫画『女子高生の無駄づかい』の作者であるビーノ氏が、2歳児との日常を面白おかしく描いた子育てエッセイ、『エモーショナル赤ちゃん期 ~人間を2年育ててみた~』(ビーノ/KADOKAWA)が注目を集めている。 【漫画】本編を読む
ビーノ家に舞い降りた天使・ぽよちゃんは、簡単な単語を話せる2歳の男の子だ。自我も芽生え、イヤイヤ期を迎えていた。そんなぽよちゃんとビーノ氏のやりとりの子育て”あるある”が、なんとも微笑ましいエッセイである。 作中では、ぽよちゃんの不思議な行動も取り上げられている。「ママのこと好き?」とビーノ氏が聞くと、なぜか薄い布をかけられてしまう。息でその布を吹き飛ばすと、彼のツボに入ってしまったようで、涙を流すほど大笑いし、何度も何度も繰り返したというエピソードがある。 子どもは時に大人が理解できない行動をし、延々と繰り返すという子育ての“あるある”に、つい共感してしまう。この時のビーノ氏の表情がまた、親の気持ちを代弁しているかのように無表情なところが笑いを誘う。 他にも、「なぁに?」と常にいろんなものに興味を示すぽよちゃんの成長を微笑ましく思う一方で、「地味にしんどい」と表現するあたりも、非常に共感できる。また、子どもが好きなものに対して、親が詳しくなってしまうというエピソードには、大きく頷かされる。子どもの成長に伴う自我の芽生えは親にとって嬉しい反面、親が思うような子育てと離れていくのも事実。実際は、可愛いだけではなく、面倒なことも困ることもたくさんあるのだ。 それも含め面白おかしく描かれていることで、子育ては大変だけど面白いことがこの作品を通して伝わるのではないだろうか。ビーノ氏のいい意味で「肩の力を抜いた子育て」がこの作品の魅力である。 子育てに悩んでいる方はもちろんすでに小さい子の子育てが終わってしまったという方にも手に取っていただきたい一冊だ。 文=ネゴト / 森ソタカ