最良のタイミングで必ず上陸を 石垣市が尖閣諸島を洋上調査「領土なのに…」ジレンマを逆手、中国に外交圧力をかけるべき
【沖縄が危ない!】 沖縄県石垣市は4月25日から3日間、民間船をチャーターして、行政区域内にある尖閣諸島を洋上から調査した。尖閣が市の行政区域にあることを、内外に行動で示す狙いがある。2022年1月から始まり、今年で3回目となる調査だ。 【画像】尖閣諸島を日本領と記した海外の地図 ドローンなどを使い、魚釣島でヤギによる植生の食害が進んでいる実態が判明した。調査船に乗り込んだ東海大学の山田吉彦教授は「環境の悪化が進んでいる」と指摘し、中山義隆市長は「上陸調査が必要だ」と述べた。 尖閣諸島には、いずれ公的機関の人間が上陸し、領土保全の措置を取らなくてはならない。ただ、タイミングが問題だ。日本政府は市の上陸申請を許可していない。 尖閣周辺海域では現在、中国海警局の艦船が4隻体制で常駐し、領海侵入や、近くで操業する日本漁船への威嚇を日常的に繰り返している。中国政府の艦船派遣は12年の日本による尖閣国有化以降、もう12年に及ぶ。 中国政府は腰を据えている。領海侵入は単なる領有権主張のパフォーマンスではなく、「日本から尖閣を奪う」という国家意思の表明にほかならない。 石垣市の洋上調査中も、中国艦船2隻が領海侵入し、調査船に迫る動きを見せた。領海警備に当たる海上保安庁は10隻以上の巡視船を動員し、中国艦船の接近を阻んだ。 こういう現状で、政府がすぐに上陸許可を出すのは困難かもしれない。だが、地元が上陸を求めて声を上げ続けることに意義がある。政府が常に、上陸を重要案件として意識せざるを得なくなるからだ。 日本が逃げ腰にならなければ、「日本の領土なのに上陸できない」というジレンマを逆手に取ることも不可能ではない。攻撃に対する備えを固め、同盟国の支持を取り付け、日本にとって最良のタイミングで上陸できる態勢を目指すのだ。 中国に「上陸カード」を突き付け、外交圧力をかけるくらいの状況に持っていくべきだ。「現状維持」に汲々とし、石垣市の上陸申請を引き出しの奥に投げ込んでおくような対応はやめてほしい。 沖縄を地盤とする立憲民主党の政治家が昨年、中国艦船の領海侵入について「儀礼的なものだ」と愚かな発言をした。こういう政党が間違って政権を取ると、中国はこれ幸いと尖閣を不意打ちするに違いない。