今年のドラマ「ベスト主演俳優」は? 最も演技が良かった男(1)リアルな芝居で“しんどいドラマ”を成功へ導く
ここ数年の民放ドラマの勢いは凄い。各局がこぞってヒット作を生み出そうとする、その熱意が画面越しに伝わる。それに伴い役者陣のパフォーマンスもより充実度を増しているように思える。そこで今回は、2024年のドラマでとりわけ素晴らしい演技を披露した“主演俳優”を5人セレクト。それぞれの魅力を紹介する。第1回。(文・菜本かな)
目黒蓮『海のはじまり』(フジテレビ系)
『海のはじまり』は、一言でいうと“しんどい”ドラマだった。ただ観ているだけでも辛い気持ちになっていたくらいだから、主演を務めた目黒蓮は相当な苦悩を抱えながら芝居をしていたと思う。 元恋人が、自分との間にできた子どもを内緒で出産していたなんて…。さらに、その元恋人は亡くなってしまったため、血縁上の“父”である夏(目黒蓮)にいきなり責任がのしかかってくる。 正直なところ、何度も「夏くんは、もう自分の幸せのために生きてもいいんじゃないの?」と思った瞬間があった。しかし、夏は結婚を考えていた彼女とも別れ、自分ひとりで子どもを育てていくことを決意する。自己犠牲の塊というか、責任感が強すぎるというか…。 それでも、「こんないい人、いるか?」と感じさせなかったのは、演じている目黒の“漢気”をわたしたち視聴者が知っているから。 SNS上でも、「めめ(=目黒の呼称)だったら、この選択をするかもな」などという声が多く上がっていたように、夏という役は目黒が演じたことでリアリティーを生み出すことができたのだと思う。 来年の2月には、主演映画『劇場版 トリリオンゲーム』の公開も控えている目黒。2025年は、Snow Manとしてはもちろん、俳優としても飛躍の1年になるはずだ。 (文・菜本かな)
菜本かな