【課題】再審の行方を左右する「証拠開示」を考える 法律に規定なく「裁判官の裁量」えん罪被害を繰り返さないために
「ルールがない中で裁判官も翻弄」
■フリーアナウンサー・古舘伊知郎さん 「どうしても、法の名の下に平等じゃないことが起きている。こんなことが起きている。」 ■映画監督・周防正行さん 「証拠開示、何にしても裁判官がもう少し本当に厳しく見れば。でもそれをやらないんですよ。多くの裁判官が。」 袴田さんの無罪判決が出る直前に開かれた支援集会では、証拠開示のあり方など再審をめぐる問題点についても意見が交わされました。 ■えん罪被害に遭った 村木厚子さん 「(検察と弁護側)両方がバトルするのはある意味しょうがない。正しく判断するためには、両方に証拠開示されないといけないし、フェアな試合にするのが裁判官の仕事だと思いますね 。」 ■ジャーナリスト・津田大介さん 「ルールがない中で、すごく裁判官も翻弄されてやっている部分がある。であれば、本当にルールを作るということを、世論で盛り上がっていく必要があるのかなと。」
しかし、法律の改正をめぐる議論は、検察などの反対に加え世論の盛り上がりを欠き、進んでいません。 ■日弁連 再審法改正実現本部・鴨志田祐美弁護士 「袴田事件でこれだけ注目されていますよね。でも(1980年代の)あの死刑4再審の時は4倍だったんですよ。こんな衝撃があったにもかかわらず、無罪になって良かったね、30何年かかったけど無罪になって良かったねで終わってしまったと思うんですね。今度こそ法改正を実現させて、あの時から日本の法制度は変わったよね、冤罪が、仮に間違いがあっても迅速に救済されるようになったねと、そういう世の中にしていきたい。」
飯塚事件の再審請求では
飯塚事件の再審請求を手がける岩田弁護士。第2次再審請求で弁護団は、検察に証拠品リストの開示を求め、福岡地裁は開示するよう勧告しました。 しかし、検察は拒否し、福岡地裁もそれ以上、開示を求めませんでした。 ことし6月、福岡地裁は再審請求を棄却しましたが、弁護団は即時抗告し、審理は福岡高裁に舞台を移して10月28日から始まります。 ■飯塚事件 再審弁護団・岩田務弁護士 「証拠開示が一番の柱ですよね。検察が隠している無罪方向を示している証拠をどれだけ出させるか。攻防のヤマになると思います。」
再審に関する法律を改正しようと、ことし3月に与野党の国会議員による議員連盟が発足しました。これまでに350人以上が入会したということです。 21日、静岡県警の本部長が袴田さんに直接会い、謝罪しました。えん罪被害を繰り返さないために、司法改革への本気度が試されています。 ※FBS福岡放送めんたいワイド2024年10月22日午後5時すぎ放送
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