井上尚弥劇場の将来を占う:タパレス戦後にモンスターを待ち受けるのはだれか|12.26 スーパーバンタム級4団体統一戦
井上尚弥 vs. ロベイシ・ラミレス
オリンピック金メダル(ロンドン五輪、リオ五輪)を2度獲得したラミレスは、まだキャリアを代表するような大試合を経験していない。しかし、その才能のレベルには疑いの余地はない。 このキューバ人サウスポーはすでにWBO世界フェザー級王座を獲得しているが、大物の称号を得るのはこれからだ。無限大の可能性を感じさせ、パウンド・フォー・パウンドのリスト上位にも近づいていた。 29歳のラミレスはオリンピック金メダリストに相応しいテクニシャンのタイプだが、それだけではない。1発のパンチ力も相当なものだ。それまで無敗だったアブラハム・ノバをノックアウトした試合がそのことを証明している。 そんなラミレス(13勝1敗、8KO)は日本のファンも知った顔だ。井上 vs. フルトン戦のアンダーカードで清水聡をノックアウトしているのだ。ラミレスが井上と同じくトップランク社のプロモートを受けていることも良いニュースだ。この対戦は意外に早く実現する…かもしれなかった。 12月9日、ラミレスはラファエル・エスピノーサにまさかの0-2判定負けを喫し、WBO世界フェザー級王座から陥落したことで、状況が様変わりしてしまった。ダイレクトリマッチでの王座奪還、あるいはムロジョン・アフマダリエフのように自力でタイトル挑戦権を勝ち取るか、別の団体タイトルを手にすれば、再び遡上にあがるかもしれない。 <実現性:ラミレスが再浮上すれば、あり得る>
井上尚弥 vs. ワシル・ロマチェンコ
ロマチェンコはここ数年ライト級を主戦場にしているが、実のところ井上との対戦は体格的にミスマッチとは言えない。 ロマチェンコ(17勝3敗、11KO)は、キャリアを辿ればライト級だけではない。このウクライナ人ファイターはまだスーパーフェザー級でも戦える。近い将来にフェザー級に上がると思われている井上から、そうかけ離れているわけではないのだ。 最初に触れたように体格的にも渡り合える可能性がある。ロマチェンコの身長は170cmだが、リーチでは井上の方が長い(井上171cm、ロマチェンコ166cm)。それにロマチェンコは体格に物を言わせるような戦い方はしない。この元3階級世界王者は素早いフットワークとパンチの切れが身上だ。 悪いニュースと言えば、ロマチェンコが35歳でキャリア晩年にさしかかっていることだ。元ライト級統一王者のジョージ・カンボソス・ジュニアとオーストラリアで対戦するという噂もある。井上との対戦が実現する可能性はかなり低いのが実情だ。 <実現性:かなり低い>