<解説>「鬼滅の刃」 鬼舞辻無惨が“パワハラ上司”になった理由 1000年募らせたイライラ
◇無惨の過去 太陽の光を浴びられない屈辱、怒り
パワハラ会議などからも分かるように無惨は、常にイライラし、何かに怒っている印象だ。このイライラの理由は、「刀鍛冶の里編」の最終話となった第11話で描かれた無惨の過去にあるようだ。
無惨は約1000年前の平安時代、重い病をわずらっていた。医者が作った薬を飲んでも病気は一向に直らず、イラ立つ無惨は医者を殺してしまう。しかし、その後、医者が処方する薬が効いていたことが判明。無惨は、強じんな肉体と引き換えに、太陽の光を浴びられない体になってしまう。太陽を克服するべく、青色の彼岸花を使った薬を求めるも、その花の生息地や栽培方法を知っているのは無惨が殺した医者のみだった。
太陽が浴びられない体になり、昼間の行動を制限されるのは、無惨にとって「屈辱であり、怒りが募った」と語っており、“本当の不死”を手に入れるため、青い彼岸花と太陽を克服できる体質の者を探すことを最優先に生きることになった。自身の同類(=鬼)を増やしたのも、そのためだったようだ。しかし、青い彼岸花も太陽を克服できる者も見つからなかった。つまり、無惨は1000年間、屈辱と怒りを募らせ続けていたのだ。そもそも医者を殺さなければよかったのでは?というツッコミどころはあるものの、1000年もイライラしていれば、パワハラ上司になってしまうのかもしれない。
そんな中で、「刀鍛冶の里編」の最終話では、鬼である竈門禰豆子が太陽の光を克服した。無惨にとっては大いなる朗報である。人間の子供になりすまして暮らす無惨は、興奮のあまり養母、メイドを殺害。あまりにうれしかったのか、刀鍛冶の里で鬼殺隊と戦った半天狗に対し、「よくやった半天狗」と超レアなねぎらいの言葉を発した。
無惨は「あの娘を食って取り込めば私も太陽を克服できる」と禰豆子を狙うような発言をしている。念願をかなえる糸口を見つけた無惨が今後、どのような動きを見せるのか。部下へのパワハラは多少は弱まるのか。「柱稽古編」の展開が注目される。