「老後破産」を防ぐために、65歳時点で貯蓄はいくら必要?「持ち家・賃貸」それぞれのケースで試算
「老後2000万円問題」を覚えている人も多いでしょう。老後2000万円問題とは2019年に金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループが発表した報告書に端を発した問題で、一般的な収支の世帯では老後資金が2000万円必要になるというものです。この問題については、その後さまざまな議論が巻き起こることとなりました。 そこで今回は、実際のところ65歳時点で貯蓄はいくら必要なのかということを、詳しく解説します。
夫婦2人世帯の年金受給額の平均と平均支出額
まずは夫婦2人世帯における年金受給額の平均と平均支出額を見てみましょう。厚生労働省が発表した令和3年度の「厚生年金保険・国民年金保険事業の概況」によると、年金の平均受給額は老齢厚生年金(老齢基礎年金を含む)を受給している人で月14万5665円、老齢基礎年金のみを受給している人で月5万6479円です。 そのため、仮に高齢者の夫婦世帯で夫婦どちらかのみが厚生年金に加入していた場合、年金受給における世帯収入額の平均額は20万2144円になります。 それでは、支出額はどうでしょうか。総務省の2022年(令和4年)家計調査報告によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における毎月の平均支出額は消費支出が 23万6696円、非消費支出が3万1812円で26万8508円になります。そのため、仮に世帯収入額が20万円程度しかない場合、毎月7万円程度の赤字になることが分かります。 また、注目すべきは住居費です。前述した調査では、消費支出額における住居費の割合が6.6%で1万5578円となっています。このような低い額になっているのは、持ち家の人が多いからだと考えられます。そのため、賃貸の人の場合、支出額にさらに3~4万円程度上乗せする必要があるでしょう。
約85歳まで生きるならいくら貯蓄が必要?
厚生労働省が発表した令和4年簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.05歳、女性の平均寿命は87歳です。そのため、仮に85歳くらいまで生きた場合、赤字額はどれくらいになるのでしょうか。 65歳以降毎月7万円の赤字になるとすると、年間で84万円、65歳から85歳までの21年間で1764万円の赤字になります。賃貸に住んでいるなどで住宅費がさらに3万円多くかかる場合、年間で36万円、21年間で756万円を追加で用意しておく必要があるでしょう。そう考えると、持ち家ではない人は2500万円程度貯蓄しておくと安心です。