備品窃盗にサウナの無断利用…店主「もう限界」 老舗銭湯が閉店決断
半世紀以上にわたって親しまれてきた神奈川県座間市の老舗銭湯「亀の湯」が5月30日に閉店することを公表した。この数年、備品の持ち逃げ、敷地内へのごみの不法投棄など、利用客による迷惑行為が繰り返されてきたことが大きな原因という。 【写真】1967年の開業。半世紀以上にわたって地元で親しまれてきた銭湯「亀の湯」。この数年、利用客による悪質な迷惑行為が繰り返されていたという=2024年5月20日、神奈川県座間市、土居貴輝撮影 店主は「営業を続ける意欲が無くなった。もう限界です」と苦境を訴える貼り紙を店先に貼りだし、同じ内容を公式X(旧ツイッター)にも投稿した。 亀の湯は、1967年開業。小田急線小田急相模原駅から南へ歩いて15分ほどの住宅街にある。Xでは「座間市で唯一の銭湯です。井戸水を薪で沸かしたお湯は、体の芯まで温まり、疲れが取れます」と紹介。入浴料は、中学生以上が530円、小学生は200円。サウナも備え、冬至にはゆず湯にするなど地元に親しまれてきた。 だが、この数年、利用客が繰り返す迷惑行為に悩まされてきたという。 店の入り口に張り出された告知によると、理不尽なクレームをつけるカスタマーハラスメント(カスハラ)、備品の窃盗、料金を支払わないサウナの無断利用のほか、敷地内や駐車場に一般ごみや木材・家具などが不法投棄される事案が相次いだという。 店側が注意しても、こうした迷惑行為が繰り返されたといい、「悲しい出来事があまりにも多いことで、営業を続ける意欲が無くなったことが(閉店の)一番の理由です」「亀の湯を大切に想って通い続けていただいているお客様がいることも、大変有り難く、励みに頑張ってきました。ですが、もう限界です」とつづられている。
朝日新聞社