知床・観光船沈没事故で２年以上が経過して発見されたデジタルカメラ。復旧された写真から運航会社社長の事故当日についての説明を巡る新たな疑惑も浮かび上がりました。 業務上過失致死の罪で起訴された知床遊覧船・社長＝桂田精一被告。 事故直後の会見で繰り返していた言葉があります。 桂田精一被告） 「条件付き運航であることを豊田船長と打ち合わせ」 「条件付き運航という話で」 「条件付き運航で出しているので」 事故当日は午後から悪天候が予想されたため、海が荒れた場合に途中で引き返す「条件付き運航」を決めたと主張していました。 しかし、復旧された乗客の写真からある疑惑が浮かび上がりました。 当日出航を手伝った男性） 「これ俺だよ」 事故当日の港で撮影された写真に映る男性。ＫＡＺＵＩの元甲板員で、あの日も出航を手伝っていました。 注目したのは当日の事務所の外観を映した一枚です。 当日出航を手伝った男性） 「この日もないし、当然受付でも（条件付き運航と）言ってないしね」 この日、なかったもの。それは条件付き運航の場合にいつも事務所の窓に貼られていた紙です。 当日出航を手伝った男性） 「条件付き運航っていうのはこのガラスに貼って…紙１枚に「本」「日」「は」って感じで貼ってある」 他にもこのように事務所の前に「条件付き運航です」と掲げられていた日もあるようです。 しかし、あの日の写真にそれらしきものは見当たりません。 では、事故当日はどのように乗客に「条件付き運航」を伝えていたのでしょうか。桂田被告は会見でこのように主張していました。 桂田精一被告） 「こういうことがあるかもしれませんので、その時は船長判断に従ってくださいという貼り紙がしてあります」 貼り紙には、天候の急変で予定していた場所まで 到達できなかった場合の料金が書かれています。しかし、この日が条件付き運航なのかどうか書かれているわけではありません。 男性はこの紙は事務所にずっと貼ってあったものだといいます。 当日出航を手伝った男性） Ｑ常に事務所に貼っているもの？ 「受付のところにね、貼ってあったね。折り返すときや最初から行く場所を設定しているときは説明する。本日は条件付き運航となりますので差額返金があるかもしれませんとそういうこと説明しないといけないでしょ」 Ｑ事故の日は一切なかった？ 「ないんでないかい？間違いなく言ってないと 思うよ」 写真から浮かび上がった桂田被告の説明を巡る疑惑。もし「条件付き運航」でなかったのであれば、天候を考慮せずに出航を決めていた可能性もあります。 ぬで島優（ゆう）さんの父親　※「ぬで」は「木偏に勝」 「条件付き運航ってそもそも許されている運航ではない。それをお客さんに案内もせず乗せていたら、さらに嘘の上塗りになっていますから、本当に酷い運航だと思っています」