福島県南会津郡西部 10月にバス路線再編 檜枝岐線ルート変更 会津乗合自動車、山口・内川線統廃合
会津乗合自動車(本社・会津若松市)は10月1日付で南会津郡西部の広域バス路線を再編する。福島県南会津町田島地区の会線線会津高原尾瀬口駅から同町舘岩地区を経て檜枝岐村に至る檜枝岐線のルートを変更し、同線会津田島駅から同町南郷、伊南両地区を通る山口・内川線を廃止して統合する。東北運輸局福島運輸支局に21日までに申請した。 再編する南会津郡の路線は【地図】の通り。同社などによると、檜枝岐線は関東方面から野岩鉄道などで檜枝岐村や尾瀬に向かう観光客に利用され、1日4往復8便を運行している。南会津町舘岩地区の住民の足にもなっているが、人口減にコロナ禍なども重なり、1日当たりの利用者は7・5人にとどまる。山口・内川線も1日当たりの利用者は2・1人と低迷。同社と両町村は財政負担や利便性の確保を考慮し、再編を決めた。 新たな檜枝岐線への一本化以降は会津田島駅と檜枝岐村の間をバスが1日4往復8便走る。会津方面から尾瀬に向かう人、檜枝岐村から南会津病院に行く人には利便性が高まる。一方、関東方面からの鉄道とバスで尾瀬に向かう利用客は数十分ほど移動時間が延びるとみられ、尾瀬檜枝岐温泉観光協会の関係者は「少なからず登山客の利用に影響するのではないか」と懸念する。南会津町は舘岩地区でデマンドタクシーを増やすなど住民生活への影響が出ないようにする。
■運転手不足解消策を 抜本的取り組み求める声 バス業界関係者によると、人口減に運転手不足が重なり、路線バスを巡る環境は今後厳しさを増すとみられ、事業者や行政は路線再編など住民に必要な路線を残す方策を練っている。業界からは収入を増やすため、運転手確保に向けた抜本的な取り組みの強化などを求める声が上がる。 県バス協会によると、県内の大手事業者は運転手の総数が増えない中、地域路線を維持するために高速バスの本数を減らし、高速バスの運転手を路線バスに回すなど、対応に苦慮しているという。その結果、各社とも収益性の高い高速事業による売り上げがコロナ禍前の6割程度までしか戻らず、収益全体が伸び悩む「悪循環」が起きているとされる。同協会は「就職説明会の支援など、行政には運転手確保のための取り組みを求めたい」としている。