陸自徳島駐屯地第14施設隊の山田佳奈さん(23) 震災機に入隊、「人のために働く」使命感胸に奮闘
陸上自衛隊徳島駐屯地第14施設隊(阿南市那賀川町)に所属する山田佳奈さん(23)=鳴門市鳴門町高島出身。自衛官を志したきっかけは、2011年に発生した東日本大震災だった。 【動画】これが「徳商体操」! 全1年生が挑む伝統の集団演技 当時、小学3年生。テレビで見る津波のニュースは怖かったが、懸命に被災地で救助活動を行う自衛官の姿に心を打たれた。「私も自衛隊に入って、人のために働きたい」。そう強く思うようになった。 高校卒業後に入隊した。厳しい訓練を経て、現在は陸士長として日々の任務をこなし、3等陸曹への昇任を目指す。実現すれば、10人規模の分隊を指揮する分隊長になることができる。徳島駐屯地では女性初の分隊長の可能性があり、周囲からの期待は大きい。 施設隊の任務は陣地構築や道路整備など、重機の操作や大規模な資材の運搬といった責任の重い仕事が多く、ミスが許されない。危険が伴う任務だけに安全を最優先に、仲間とのチームワークを大切にしている。昼食時には同期と会話を楽しむ。屈託のない笑顔を見せる山田さんはいつも自然と輪の中心になっている。 ある猛暑日、訓練の一環として障害走が行われた。約10キログラムの装備を身に着け、500メートルのコースを制限時間内に走り抜けた。高い壁を越え、鉄線の下をはう様子は壮絶だ。苦しい表情を浮かべながらも一歩一歩踏ん張って進み、仲間とともにゴールにたどり着いた。こうした過酷な訓練の一つ一つが、有事の際の実行力につながる。 1月に能登半島地震が発生し、8月には南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が初めて発表された。南海トラフ巨大地震など国内で予想される災害への危機感や、いざという時に力を発揮できる存在でありたいという強い決意が原動力になっている。「いついかなる状況でも活躍できる自衛官になる」。確固とした使命感を胸に、覚悟と情熱は揺るがない。 ◇ 挑み続ける若者たち。苦悩や困難に直面しながらも、未来を信じて歩みを止めない。その挑戦と成長の姿に迫る。
映像・デザイン部 鈴江宗一郎