警察官“ノルマ”のため12月に「交通違反取り締まり」強化する? 「やった・やってない」水掛け論になったときの対処法
身に覚えのない場合の対処法
警察官が基本的に「確実な違反」と判断した場合にのみ取り締まりをするとして、もしドライバー側が身に覚えのなかった場合、どのように対処すればよいのだろうか。交通事故に詳しい伊藤雄亮弁護士は次のように説明する。 「まず、警察官に呼び止められたとしても、それ自体はあくまで任意の事情聴取であり、刑事訴訟法上、強制されるものではありません。だからといって逃げたり、怪しいと思われる行動をむやみにとるなどした場合は、マークされたり、逮捕されるなど不利益を被る可能性もあるでしょう」 もし「絶対に違反していない」と自信を持って言える場合は「基本的にはきちんと止まって対応し、潔白を強く主張することが穏当な対処法」(伊藤弁護士)だが、実務経験上、次のような場面に遭遇することも少なくないという。 「交通違反単体の争いが裁判にまで発展するケースはまれですが、たとえば交通事故の刑事訴訟や、過失割合を問う民事訴訟では、違反の有無について争われることがよくあります。 これらを見ていると、本人は『違反していない』と自信を持っていても、よくよく調べてみると実は違反していた…ということは珍しくありません。 交通違反においては、いくら主観的に『絶対にやっていない』と自信があっても、証拠を突き付けられたときにどこまで強く出られるかは、ケースバイケースなのではないかと思います。 ただし『袴田事件』に代表されるような、捜査機関の違法な取り調べによる冤罪事件は実際に発生しているので、捜査官の誘導に乗らないよう警戒することは大事です」(同前) 年末に向けてスケジュールにも気持ちにも余裕がなくなっている人は少なくないだろう。取り締まりを心配するよりも、まずは違反を疑われないような安全運転を心がけることが合理的なのかもしれない。
弁護士JP編集部