【桜花賞】「トライアルで負けた阪神JF3着以内馬」は単回収率463% データで導く穴馬候補3頭
フェアリーSの株価急上昇中? マスクオールウィン
2頭目はマスクオールウィン。これまでのレース選択は「王道」とは言いがたいが、前記のコラソンビートや重賞2着馬オーキッドロマンスといった骨っぽい面々と戦ってきた。フェアリーS2着から本番へ臨む。 このフェアリーSという重賞の立ち位置が変わりつつある。以前は正直レースレベルが低い年ばかりで、まるで桜花賞につながらなかった。ところが「早期に賞金を獲得して本番まで期間をとりたい」と考える陣営がここ数年で増えたことに伴い、1月という時期設定がむしろ価値を持ち始めた。出走馬のレベルが向上してきた。 フェアリーS連対馬の桜花賞成績を調べると一目瞭然。(1600m戦になった)2009~19年では【0-0-1-16】とボロボロだったのに対し、20年以降は【1-0-2-4】複勝率42.9%、単回収率207%、複回収率205%と株価急上昇中だ。 勝ったイフェイオンももちろん悪くないが、ここではマスクオールウィンをより上位に評価した。前走は予期せぬ出遅れで大外から追い込む形になるも、上がり33.9秒の脚を使ってクビ差2着と収穫があった。派手さはないが1200~1600mで位置取りも問わず結果を出してきた。この対応力の高さは侮れない。
戻ってきた「重賞で怖いミルコ」 セシリエプラージュ
3頭目はフィリーズレビュー3着セシリエプラージュを取り上げる。母アットザシーサイドもフィリーズレビュー2着から桜花賞3着と好走した。8年越しに娘が同じ道を歩む。 鞍上は今期絶好調のM.デムーロ騎手。2024年はここまで勝率10.5%、複勝率34.2%。複回収率112%は人気以上の結果を多くもたらしていることの証明だ。 特に重賞では【1-1-3-8】複勝率38.5%、複回収率196%と冴えわたっている。セシリエプラージュ自身のフィリーズレビューも12番人気3着だったし、早めマクりでしぶとさを引き出したコスモキュランダの弥生賞、不振のエエヤンを軽快な大逃げで立て直した先週のダービー卿CTなど、思い切りのいい騎乗が目立ち始めた。ここ数年はやや成績的に苦しんでいたジョッキーだが、久々に「大舞台で怖いミルコ」が戻りつつある。 ほか、マイル戦で【4-5-1-8】複勝率55.6%、社台ファーム生産馬では【1-3-2-4】複勝率60.0%など、今回は複数の好データが重なっている。今年のデムーロ騎手の「買い時」に合致する。 セシリエプラージュは距離延長となるが、もともとマイル戦で未勝利戦を勝っているので、そこは特に問題とならない。どちらかといえばデビューから3戦いずれも、上がりが33.8~33.9秒とほぼ一定だったのが気になるところ。使える上がりに限界があり切れ味勝負には弱く、ハイペースになれば相対的に浮上するタイプと見ている。前が競り合うようなら出番だ。あとはデムーロ騎手の手綱捌きに期待しよう。 <ライタープロフィール> 鈴木ユウヤ 東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。
鈴木ユウヤ