【更年期世代の嫉妬】他人と比較してしまう原因と「嫉妬心」をポジティブに変える方法
「あの人はいつもうまくいっていてずるい」「自分だけが不幸せな気がする」こうした嫉妬の感情は、自分を惨めな気持ちにさせ、さらには攻撃的にしたり…などあまりよいことがありません。特に人生の節目にあたりやすい40代、嫉妬の感情を持ちやすくなるタイミングでもあります。ただ、この嫉妬の感情をポジティブに転換したり、ある工夫で見方を変えることもできます。今回は嫉妬の感情が生まれる理由とその影響、対策についてお伝えします。 〈写真〉【更年期世代の嫉妬】他人と比較してしまう原因と「嫉妬心」をポジティブに変える方法 ■40代は人生の節目。嫉妬の感情が生まれることも少なくない 先日、このようなご相談をいただきました。 「40代になっても、他人の成功を見て素直に喜べず嫉妬してしまいます。自己嫌悪に陥ってしまい、とてもつらいです。これは普通のことなんでしょうか」(40代・女性) 40代は人生の節目ともいえる大切な時期です。仕事で大きく昇進したり、独立したり、一方で子どもの進学や独立、家族の介護など仕事面でも家庭のなかでも、大きな変化が起きやすい時期です。さらに、心身に変化の起こりやすい更年期の始まる時期でもあります。更年期には、ふだんは気にならないことでも、ついネガティブにとらえたりしがちです。そういった、自分も周りも変化の大きい時期には、他人を見て嫉妬の感情をもつことは当然あるでしょう。今回は、この嫉妬の感情を少しでもポジティブに変えていくためのヒントを共有したいと思います。 ■似た他人と比較してしまうことで嫉妬が生まれる そもそもなぜ人は嫉妬するのでしょうか。その理由は、他の人と自分とを比べて自分の価値を測ってしまうからです。そのため、嫉妬は自分とフィールドの近い人に対して生まれます。例えば、会社で一緒に働いている同僚が昇進した場合を考えてみましょう。似た条件で働いてるのに、なぜ私ではなくあの人が昇進するんだ、といった嫉妬心が生まれることがあります。これは、自分と比べやすい立場にあることが一つの原因です。 一方で、自分とは違うフィールドや全く違うレベルの人に対しては、人はあまり嫉妬しません。例えば、メジャーリーガーの大谷翔平選手に対して「自分の息子だってあれくらいのことはできたのに」と考えたり、アメリカの大富豪の事業の大成功に嫉妬したりという人はあまりいないのではないでしょうか。自分と比べにくいものに対しては、人はあまり嫉妬しないものです。40年も生きていれば、いろいろな経験を通して、仕事での成功やお金、幸せそうに見える生活など、表面的なことに対して嫉妬したり、心の奥底にある不安や満足できない感情があったりなどもあるでしょう。知人のSNSで楽しそうな投稿を見ると、嫉妬が芽生えてしまうことがあるかもしれません。その嫉妬は、他人と自分を比較して自分の価値を測ってしまうことから生まれるのです。 ■嫉妬心はネガティブにもポジティブにも自分の心に影響する 嫉妬の感情は、心にどのような影響を及ぼすのでしょうか。ポジティブな面、ネガティブな面、両方あります。ポジティブな面では、この嫉妬心を“何くそ!”と前向きなエネルギーに変えることができることです。嫉妬心を前向きな動機付けに活用できれば、自分自身の目標達成のエネルギーに変えたり、自分をよりよくしていくきっかけにもなります。また、この感情をきっかけに自分自身を見つめ直すこともできるでしょう。 一方で、多くの場合はネガティブな影響が出やすくなります。嫉妬の感情は、ストレスの原因になるため、長く続けば心の健康を害したり、嫉妬を感じる自分自身に嫌悪感を抱くこともあります。また、嫉妬を感じる相手に対して、意地悪なことをしてしまって心にしこりが残ったり、人間関係が悪化することも考えられます。また、自分のことを人と比べて過小評価してしまうことがあれば、何よりも自分自身が疲弊してしまうのが、いちばんのよくない状況です。 ■嫉妬の感情に疲れたらどうすればよいのか 嫉妬の感情への対策は、ただ一つだけです。他人と自分を比べないこと。比べるのであれば、自分を対象にしましょう。昨日の自分と今日の自分、過去の自分と今の自分を比べて、自分自身の成長を振り返るようにします。そうは言っても、そんなに簡単にはできないという人もいるでしょう。そこでぜひ試してみてほしいのが、「今日あったよかったことを3つ書き出す」ことです。箇条書きでかまいません。できれば毎日やってみましょう。 これは、意識を他人ではなく自分に向ける練習です。「私はよくやってるじゃないか!」「私、40年もよく生き抜いてきた。すごい!」と自分を認めてあげるのです。自分を認めて、今ある幸せに気づくことができると、心の持ちようが切り替わり、心豊かにいられるようになります。 また、たとえ他の人があなたよりうまくできることがあったとしても、それは「あなたの価値がない」ということではありません。大切なのは、他人との比較ではなく、自分自身の価値を自分で知り、自分で認めてあげること。私たちは、人と比較するために生まれてきたわけではありません。嫉妬心が生まれがちな40代、私は、自分を認め、自分自身の幸せを見つける旅の最中だと考えています。その旅の一歩を踏み出していきましょう。 ライター/永田京子 NPO法人 ちぇぶら代表理事、更年期トータルケアインストラクター 1,000名を超える女性たちの調査や医師の協力を経て “更年期対策メソッド”を研究・開発・普及。口コミで広まり、企業や医療機関など国内や海外で講演を行い述べ3万人以上が受講。
永田京子