石川県羽咋市から辰野町へ移住 夫妻が移動販売で被災地の復興支援 長野県
今年の元日に発生した能登半島地震を機に、一念発起で石川県羽咋市から長野県辰野町へと移住した移動販売業の遠藤郷二さん(58)、真紀子さん(58)夫妻。遠く離れても被災地を応援していきたい―と、被災した北陸や2人の出身地である北海道の物産品を扱う移動販売を4月から再開した。「細く長い支援を続けていきたい」と意欲を見せている。 遠藤さん夫妻は2020年に羽咋市へ移り住み、移動販売を開始。ただ、被災後は自宅が安全に暮らせる状況になく、能登の経済も大打撃を受けたため商売も困難となり、泣く泣く移住を決意した。今年3月に候補地を探して移住者受け入れに積極的な辰野町を訪れた際、豊かな自然と町民の温かさに触れ、辰野への移住を即決したという。 店の名は、出身地の北海道と移住した北陸を結ぶという意味を込めた「ほくほくロード」。現在は町の理解と協力を得て平日に役場駐車場の一角で露店を出店し、土日祝日は各地のイベントや観光地などで店を開いている。 取り扱う商品は、羽咋市では海産物や銘菓など北海道物産が中心だったが、辰野町では北陸の物産品も積極的に販売する予定。しかし被災地はいまだ復興途中で生産体制も整わず、商品の入手も困難な状況が続いており、現在は入手可能な氷見うどんや白エビを使ったスナック菓子などを販売している。 店では北海道のソールフード「ざんぎ」や「ぶた丼」のほか、「あげいも」や「ホタテおにぎり」なども提供しており、おいしそうな匂いに誘われて多くの人が店を訪れている。 「辰野はとてもすてきな場所で、北海道と北陸、さらには辰野とを結べるよう頑張りたい」と語る遠藤さん夫妻。売り上げの一部は能登半島の被災地支援の義援金に充てると言い、「お客さまに能登の現状を伝え、被災地を忘れることなく息の長い支援を続けていきたい」と話している。