大谷翔平3度目の「満票MVP」に逆風?62HRのジャッジに“ケチをつけた”2年前の因縁
ニューヨークの記者がリンドーアに投票する可能性も
ここで改めてMVPの投票システムを紹介しておこう。 両リーグともに全米野球記者協会(BBWAA)に所属する記者による投票となっている。各リーグの本拠地都市から2人ずつの30人、両リーグ合計60人が、それぞれ10選手に1位から10位までの順位をつける。 もちろんメッツが本拠地を置くニューヨークも2人の記者が投票権を持っており、彼らが大谷ではなく、リンドーアに1位票を投じている可能性はゼロではないだろう。
ジャッジが満票受賞できなかった“2年前の因縁”
やはり記者も生身の人間。シーズンを通して見続けている地元選手を贔屓することがあっても不思議ではない。実際に2022年のア・リーグMVP投票ではある“因縁”が勃発していた。 その年のア・リーグでMVPを受賞したのは、本塁打のリーグ新記録を塗り替えたジャッジだった。ヤンキースの主砲が157試合の出場で残した成績は、打率.311、62本塁打、131打点というもの。当然、ファンはジャッジの満票受賞を信じて疑わなかったが、1位票は30人中28人。残る2人は当時エンゼルスの大谷に1位票を、ジャッジに2位票を投じていた。その2人というのが、ともにロサンゼルスの記者だったのだ。 ちなみに同年の大谷は、打者として157試合に出場し、打率.273、34本塁打、95打点、11盗塁をマーク。投手としても28試合に登板し、15勝9敗、防御率2.33と、二刀流選手として完成の域に達したシーズンだった。 ジャッジの62本塁打と、大谷の34本塁打&15勝。どちらも歴史的快挙といえる成績に違いはないが、多くがジャッジを支持したこともまた事実である。 もし今季、2年前とは正反対に、ニューヨークの記者だけがリンドーアに投票していたとすれば、やや後味の悪さが残るかもしれない。果たして大谷は満票で自身3度目のMVPを手にすることができるか。 文/八木遊(やぎ・ゆう) 【八木遊】 1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。
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