「優秀な子を選ぶために10年もかける受験制度はおかしい」 完全オンラインのZEN大学は何を目指す?ドワンゴ川上量生が指摘する“競争原理が働かない大学”
■偏差値なし「受験戦争は昔より悪化している」
入学選考は「事実上ほぼない」という。川上氏は「本当に必要な勉強をする学校を作りたい。N高は、受験勉強をしたい人はやってもいいし、そうではない人は別のことをやってもいい。それを応援する学校だ」と説明。 専門的な内容と一般教養を学ぶバランスはどう考えるか。「大学制度が大きく変わり、今は総合入試が増えている。一発芸とも揶揄されるが、思考力やそれまでの実績で勝負するわけだ。N高の進学実績がすごく上がっているが、その原動力は一流大学の総合入試にバンバン合格していることだ。また、みんなで協力するプロジェクト学習が海外では進んでいるが、日本はこれまでなかった。N高では通学コースだけだが、それが授業の中心になっている」と述べる。
今の受験制度に対する違和感もある。「受験戦争は昔より悪化している。僕が高校生だった35年ぐらい前は、受験勉強を始めるのは高3の夏で1浪する、私立校だと高2の夏から勉強して現役で入る、みたいなことが普通だった。今は、小学校からSAPIXに通ってないと一流大学に入れない。優秀な子を選ぶためだけのスクリーニングに10年以上もかけるのはおかしい」。
■「補助金をもらって安定経営していたら競争原理が働かない」
では、補助金なしで運営可能なのか。川上氏は「校舎がないし、オンラインなので先生1人が教えられる生徒が多く、コストを下げられる」とした上で、「そもそも通信制大学はあまり補助金をもらえない。学費38万円に対して、年間で1~2万円だ。わずかな金額のために文科省からいろいろ言われるよりは、自由にやったほうがいい」と答えた。 ひろゆき氏は「みんな“大卒”が欲しいのでFラン大学でも行く。しかし、ZEN大学が、学費も安いし聞いたこともある、となれば行く人は多いだろう。優秀な人を輩出すれば良いイメージもつく。一方で、文科省が大学を潰さないようにしているので、子どもが減っていってもFラン大学は残っていく。ZEN大学がどんどん生徒を集めて地方の大学が潰れるような状況になれば、文科省は牙をむいてくるのでは?」と懸念を示す。
これに川上氏は「大学は自治権がすごく認められている。例えば、飛び級の制度や、高校でも単位を取れたりする制度は何十年も前からあるが、どの大学も面倒だから、と対応していない。つまり、文科省が新しいことをやろうと思っても、民間側の独立性が強すぎる。そして、補助金をもらって経営が安定しているので、競争原理が働かない」との見方を示した。(『ABEMA Prime』より)