「日本経済がインド経済に勝つのは、正直厳しい」インドで働く34歳年収1200万円商社マンがそう嘆くワケ
IMF(国際通貨基金)の見通しによると、インドの国内総生産(GDP)は我が国と僅差の現在5位。2023年に中国を抜いて世界人口1位となった同国は、数年以内に日本経済を上回ることがほぼ確実視されている。なぜインド経済は強いのか。いったい日本国民には何が足りないのか。大手総合商社のインド支店で働くで森川優氏に話を聞いた。 【写真】もしも10年前に三菱商事に投資していたら「配当利回り」は今いくら? 聞き手:佐藤大輝(世界30ヶ国を旅したバックパッカー)
家賃も給料も毎年10%アップ
ーー森川さんを初めて知る読者の方もいると思うので、私から簡単に紹介させていただきます。森川優さんは現在34歳。大学卒業後、大手総合商社に就職し、31歳のときにインド・ムンバイへ赴任。部長職として、現地で約100人の部下をまとめています。海外赴任手当などを含め、現在の年収1200万円。結婚しており、生まれたばかりのお子さんがいます。本日はよろしくお願いします。 こちらこそ、よろしくお願いします。 ーーさっそく質問させていただきますが、森川さんは現地で暮らしていて、インド経済の強さを実感することはありますか? 身近なところで2つありますね。1つ目は、インド在住の日本人が不動産投資に夢中になっていることです。インドでは大家側の独断で家賃を1年ごとに10%くらい値上げしてしてもいい空気感があるのですが、インド在住の僕の知り合いの1/3くらいの日本人が、インドの不動産を購入してました。 2つ目は、現地で働くホワイトカラーの給料が年10%ザラで上がっていることです。年収400万円の人が、翌年には440万円になり、その次の年には500万円近くになっていると考えると、とんでもない伸び率です。 ーー私が調べた限り、インド経済は過去20年間、毎年のように経済成長率5~10%を記録しています。ここに賃上げが追い付いているのかもしれませんね。 つくづくインド経済の勢いは『人が勢い』だなと感じます。人口増える→働く人が増える→企業の業績が上がる→給料が上る。かつての日本と同じような好景気のサイクルは、まだしばらく衰えそうにありません。日本経済がインド経済に勝つのは、正直厳しいんじゃないかな。 ーー補足ですが、2023年にインドは中国を抜き、世界1位の人口大国となりました。現在14億人いる人口は、今後30年間も伸び続け、17億近くまで増加すると予想されています。