『笑うマトリョーシカ』橋本芙美Pが語る最終回の見どころ「ついに、ハヌッセンの正体は?という答えが確実に分かります」
「道上がどんな見立てをして最後に“清家を操る者”とどう対峙していくかが見どころ」
◆そしていよいよ最終回。清家から道上への「僕のブレーンになって」という衝撃の発言で幕を閉じた前回に続く展開となりますが、見どころは? 10話のラストは、監督が「清家から道上への愛の告白のように撮りたい」と言っていたこだわりのシーンでした。そこからの最終回、視聴者の皆さんも考察してくださっていますが、道上がどんな見立てをして最後に“清家を操る者”とどう対峙していくかが見どころです。ハヌッセンの正体とは?清家のブレーンとなった道上が何を感じ、どんな筋道をたどってラストへと向かっていくのかに注目です。今までお互いを“疑似遠距離恋愛”的に見合ってきた2人の最終地点がどうなるのか、清家の本当の心があるのかどうか?本心があるとするなら、それを道上に見せるのかどうか。そして、そんな清家を櫻井さんがどう演じるのか。「僕を見ていてください」と言った清家の言葉の意味がラストで分かるので、その意味についても考えていただきたいです。“ハヌッセンの正体”については、亡くなった方も含め今まで出てきた登場人物にまだまだヒントがあるので、おさらいしておくと良いかも。また、秘書をやめた鈴木が今後の人生をどうしていくのかも気にしていただきたいポイントです。最終回の脚本を読んだ水川さんにも「こういうことにしたんですね、いいね!」と言っていただけてよかったです。 あえて言いますが、原作にもある、道上と清家の長い対峙シーンは圧巻です!! 鳥肌が立ちます。そしてエピローグ、見る方によって受け止め方はさまざまと思いますが、最後までぜひ、一緒に見届けていただけたらと思います。 余談ですが、最終回で清家がマトリョーシカを扱うシーンがあります。マトリョーシカって、実際に開けたり閉めたりする動作が意外と難しいのですが、それを櫻井さんがものすごい速さで美しく見事にさばいていく場面も個人的な見どころの1つです。こんなにうまくマトリョーシカを使える方は他にいないんじゃないかと思います(笑)。ぜひ、お楽しみに! ◆橋本さんが本作で伝えたかったメッセージはどんなことでしょうか。 この作品の企画者である監督の岩田(和行)がこのドラマに込めたテーマは「人の内面は外から見ただけでは分からない」ということ。人は一面だけでは捉えられないというのが大きなテーマであり、描きたかったことです。母親から特殊な育てられ方をした清家が“理想の人物を演じる”という特殊能力があるゆえに、人に所有欲を掻き立てさせ、最終的に国民の人気を得て権力を手にしてしまう。でも本当の彼はどんな人間なのか?彼の核にあるのは、果たしてどんな顔なのか?原作にも描かれている重要なテーマですが、ドラマ版ではさらに、清家を見続けてきた道上だからこその終わり方をするので、原作と合わせてぜひお楽しみに。 もう一つ、原作にはいろいろな親子が出てきます。清家と浩子、浩子とその母、鈴木と父、亜里沙と母。原作を読んで、それぞれが親からの「宿命」を背負っていると感じました。それを背負った上で、子たちがどんな生き方をしていくのか。その「親子」という部分をドラマ版ではさらに掘り下げたいと思い、道上の父、母、そして息子がいる設定を、早見先生に確認の上、加えさせていただきました。道上にはBG株事件をスクープした元新聞記者である父がいて、そして物語の冒頭で父が衝撃的な事故死を遂げるという宿命を背負わせました。その道上が、父の死、過去の汚職事件、そして清家一郎とどう対峙していくのか?母の復讐心を背負った浩子と、息子・一郎という全ての始まりであるいびつな親子の関係性と、道上の父から道上へ、そして息子へと代々伝わっていく思いを対照的に描くことで、道上だからこその浩子や清家との向き合い方、家族との向き合い方をドラマ版では肉付けできたらと思いました。また、道上に息子がいる設定を加えたことで、私個人的には「仕事を持つ親」という側面も掘り下げたいと思うようになりました。なかなかドラマの中では描きづらい部分もありますが、使命を持って第一線で働きながら子供を育てる親の葛藤、悩み、家族との向き合い方、両方を完璧にできるわけないし、失敗もあるし正解はないですが、諦めずに全力で日々仕事のために子供のために奮闘している姿、ということも、このドラマのひとつの要素として描けたらと思いました。この作品の本筋はもちろん政治サスペンスですが、ドラマ版は「ヒューマン」要素も色濃くした上で、さまざまなキャラクターが登場し、視聴者の皆さんにも誰かしらに自分のことを投影し、家族について思うきっかけになれたらいいなと思います。また、堅いことはあまり言いたくないのですが、裏の裏のテーマとして、見てくださった方々が選挙に行きたくなるといいね、と監督や作家陣と話していました(笑)。 ◆最後に、視聴者の方にメッセージをお願いします。 10話まで、この怒涛の展開をハラハラドキドキしながら一緒に駆け抜けてくださった視聴者の皆さま、本当にありがとうございます!そしてついに、「ハヌッセンの正体は?」という答えが最終回で確実に分かりますので、視聴者の皆さんも最終回に向けてさまざまな考察をしてみていただくと楽しいと思います。そして道上と清家が“疑似遠距離恋愛”のような関係性の末にどんなラストを迎え、お互いにどんな言葉を投げかけあうのか。そこもすごく楽しみにしていただきたいです。 <第11話(9月6日放送)あらすじ> 浩子(高岡早紀)は清家(櫻井翔)を操るハヌッセンではなかった。 そしてBG株事件には、前外務大臣の諸橋(矢島健一)だけでなく、総理大臣の羽生(大鷹明良)も関与していた――。 そんな衝撃の事実が次々と明らかになった矢先、清家から「僕のブレーンになってほしい」という突然の提案を受けた道上(水川あさみ)は、ブレーンとしてそばにいることで清家のハヌッセンを突き止められると考え、その提案を受け入れることに。 ことあるごとに道上に意見を求め、道上の考えをそのまま吸収して自分の言葉にする清家。そんな清家を目の当たりにし、道上はある種の充実感を抱き始めるのだった。 そんな中、山中(丸山智己)から一刻も早く羽生と諸橋がBG株事件に関与していた証拠を公開し、2人を失脚させるべきだと促された道上だが、政権と敵対すると清家のブレーンを降りることになると考えた道上は、悩み始め…。
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