<春へ走れ・’21センバツ東播磨>/下 活躍の好影響、他部にも /兵庫
「東播磨が選ばれました」。1月29日、グラウンドで整列する選手らに吉田博昭校長がセンバツ出場校に選出されたことを告げると、心待ちにしていた他部の生徒らからも大きな拍手が起きた。放送部員は、校内放送で「ビッグニュースです」とアナウンスし、祝賀ムードを盛り上げた。 野球部の活躍は、他部にも好影響を与えている。コロナ禍にあってオンラインツールを練習に活用した点とともに、21世紀枠での選出理由の一つとなった。 放送部は2019年、NHK杯全国高校放送コンテストで、野球部の福村順一監督と当時部員だった長男を題材にしたラジオドキュメント作品で優勝を飾ったほか、何度も全国優勝の実績がある。現在は夏の全国大会に向けて、野球部を題材にしたラジオとテレビドキュメンタリー作品を制作中。録音機やビデオカメラで、昨年10月の近畿大会や21世紀枠の県候補に決まった場面、日々の練習を、部員や監督らのインタビューを交えて取材している。 ラジオ作品のために野球部を取材する山本彩愛(あやな)・放送部長(2年)は「練習中に互いにアドバイスし合う姿は、一生懸命で格好いい。野球に詳しくなかったが、今は応援している」と活躍を願う。部員の福田倫里(つぐり)さん(1年)は「教室でふざけている選手も野球の話になると『このチームで勝ちたい』と、真剣に取り組んでいる。同じように全国大会の舞台を目指す同級生の存在は、私たちの刺激にもなる」と言う。 一方、野球部員も、学校玄関に所狭しと並ぶ放送部の優勝トロフィーや、校内で表彰される姿に鼓舞されている。橋本仁一朗副主将(2年)は「放送部は学校の顔のような存在。負けないよう活躍し、東播磨といえば野球部という存在になりたい」と、課題の打撃に力を込める。 福村監督は「選手たちにとっても見られていると意識できるのでありがたい」。原正宗主将(同)は「多くの人に応援してもらうからこそ、野球だけをするのではなく、日々の小テストや課題提出など学校生活でも当たり前にできることをきちんとしたい」と文武両道を心がける。 選手たちは限られた時間を無駄にせず、懸命に白球を追って、夢舞台へ走り続ける。【後藤奈緒】 〔神戸版〕