レース後に家族と会い涙を流す鈴木芽吹選手

第100回箱根駅伝は2、3日に行われ、青山学院大学の優勝で幕を閉じました。 史上初の2年連続学生駅伝三冠を目指した駒澤大学は総合2位。キャプテンとしてチームを率いた鈴木芽吹選手は、支えてくれた家族のために走った最後の箱根路でした。 【画像】駒澤大・鈴木芽吹主将　最後の箱根駅伝2位に「この悔しさを自分は“箱根で”晴らすことはできない」 「とにかく自分が好きなことをやって、それが芽を吹いてくれれば」という思いで「芽吹」と名付けられた鈴木選手。その思いは陸上という形で芽吹き、1年生から箱根駅伝で活躍しチームの主力に成長します。 しかし、鈴木選手が2年生で出場した箱根駅伝でアクシデント。レース中に右大腿部を疲労骨折し、区間18位とレース後には倒れ込みました。 ご両親いわく「連絡をよこさない子」だといいますが、この時ばかりは「ほんとごめん、みんなに申し訳ない。もう歩けない」と初めて弱音を吐いたそうです。 さらに、父・勝浩さんは「箱根駅伝の前は何区走るのとか、（連絡を）入れてたんですけど、後から聞いたら“それがプレッシャーだった”」と息子しかわからない重圧を知りました。それ以来、心配な気持ちはありながらも、鈴木選手をそっと見守ってきたといいます。 そして迎えた今大会は、鈴木選手にとって4年生最後の箱根駅伝。キャプテンとしてチームを引っ張りながら、「自分の成長した姿をみてもらえれば、親も喜んでくれるかな」と家族への思いを胸に持っていました。

箱根駅伝2区で区間2位の力走をみせた駒澤大の鈴木芽吹主将(写真：アフロ)

レースは、先頭でタスキを受けた鈴木選手が、1位を守ったまま終盤で待っていたご両親の目の前を駆け抜けます。父・勝浩さんは、「芽吹！頼む...ありがとう！」と思いを込めました。 結果は区間2位と素晴らしい成績でしたが、青山学院大学に13秒詰め寄られる。これにはキャプテンとしての責任を感じ、悔し涙をみせました。 鈴木選手は、ここまで支えてくれた両親の元へ行き、「負けた」と悔しさをこぼします。すると両親から、「頑張ったから。チームのためだから大丈夫。そんな悲しむことじゃない。いい走りだった」と伝えられ再び涙。 さらに、母から「これを食べて元気を出して」と小さい頃からの大好物である手作りのシフォンケーキを手渡され、今度は家族の温かさにまた涙。激走と涙の裏に、家族の愛がありました。