<春に駆ける・健大高崎’23センバツ>/下 打撃強化で初戦突破へ エース、変化球の球速アップ /群馬
「秋の大会は投手を中心に守りながら勝った。振るわなかった打撃力をアップさせて、まずは初戦を勝てるように準備しなければ」。センバツ出場が決まった1月27日、健大高崎の青柳博文監督は2年ぶりに甲子園の土を踏める喜びをかみしめながらも、表情を引き締めた。 チームの代名詞とも言えるのが、積極的な走塁で相手を揺さぶる攻撃スタイル。だが、昨秋の県大会では、準決勝までの4試合の打率は3割2分3厘と好調だったものの、決勝戦は相手チーム打率を下回り、関東大会の3試合も2割台にとどまった。センバツ出場校の過半数はチーム打率が3割を超える。上位打線を担う選手たちにとって、打撃力の向上は最大の課題だ。 50メートル5・9秒の俊足が武器で2番に座る増渕晟聖(2年)は「守備・走塁に比べて劣っているバッティングを強化しないと、甲子園では通用しない」と話す。これまでは打撃の際、バットのヘッドが下がってしまう癖があり、「速いボールに対応できなくなる」とフォームを見直した。 中軸を担い秋の県大会で本塁打を放った団之原樹(同)も「関東大会では初球から振りにいけていなかった」と打撃の反省を語る。「積極的に振っていかないと投手のボールに合わない。初球から思いっきり振ろうと意識が変わってきた」と明かす。 一方の守りでは、関東大会3試合で先発したエース小玉湧斗(同)は、1、2回戦を完投したが準決勝の山梨学院戦で序盤に連打を浴びて五回降板。打たれたのは「ほとんどが変化球」。そのため、三振が奪えるように変化球の球速を上げることに取り組んできた。プロ野球・オリックスの山本由伸投手の握り方を動画で参考にするなどして、昨秋は125キロほどだったスライダーは130キロまで上がったという。 「常に100%の力を出さなければ試合に負ける」と森田光希主将(同)。センバツ開幕まで1カ月半あまり。壁を乗り越えようと日々模索し、成長を続ける選手たちは、全力で春に挑むことを誓っている。【西本龍太朗】