映画「UDON」から20年…未だ讃岐うどん恐るべし! セルフで女子中学生が「ひと玉で」と、ずずっと食べて出て行った光景
【ノマドの窓~渡る世間はネタばかり~】 讃岐うどんのことをまだ書いてなかった。 大阪で生まれ育ったので「うどんは柔らかめ、出汁は鰹と昆布で」というのが当たり前の味で、具はシンプルに刻んだネギだけでもいいし、とろろ昆布があれば十分。たまにお母ちゃんが味付けしてくれた甘辛いお揚げさんが乗れば文句なしだった。 そんな常識で生きてきた僕が「映画『UDON』(2006年公開・本広克行監督)を製作するので手伝ってください」とお声掛けいただいたのが2004年のこと。まずは「現地の讃岐うどんの状況を知っておいてください」と制作スタッフの方々に連れられて讃岐に飛んだ。初めての香川県だった。 「おもしろいんですよ、こっちのうどん屋は」と言われたが、その実態にまつわる知識はゼロのままだ。讃岐うどんの〝さ〟も知らないド素人が、その初日に体験したのは…… ・うどん屋を10軒、はしごした! ・僕はさすがに途中でおなかを一服させるために2軒だけは食べなかったが、それでも半日で8軒でうどんを食べた! ・それもすべての店で天ぷらを最低ひとつは食べた。 この人生で後にも先にも、そんな無茶な一日はない。実際には無謀なチャレンジではなく、わいわい楽しい遠足だったなぁという印象しかない、ある意味〝うどん記念日〟。 当時『恐るべきさぬきうどん』という通称・麺通団によるガイド本が激しく話題になっていて「うどんを自分でゆがく」とか「葱を畑から自分で切って来る」「その店に辿り着く(見つける)のが困難」「うどん屋とはいうものの、食べる場所はその家族の食卓だ(実際に、子供がテレビを見てたりした)」というような信じられない現実が話題になっていたのだった。そのショッキングな日をきっかけにして、僕は約1年間、讃岐地方に足繁く通い、片っ端からうどん屋を訪ね歩き、食べまくり、映画のシノプシス作りの活力にしていった。 映画は戸田山雅司さんの脚本と本広監督の演出、そしてユースケ・サンタマリア、トータス松本、小西真奈美をはじめとする豪華なキャストの力で日本映画には珍しい上質のコメディー作品となって大ヒットした。