「スコアラーは、なくてはならない存在」。カープ・白濱裕太スコアラーが語る、第二の野球人生
カープ球団を支える様々な人たちは、どんな仕事をしているのか?。本連載ではさまざまな立場、場所からチームを支える人たちにスポットライトを当て、裏側のお仕事について探っていく。 【写真】広陵高時代の白濱スコアラーを指導した名将・中井哲之監督 第1回目は、現役時代はカープ一筋19年の捕手として活躍した白濱裕太さん。2022年限りで現役を引退し、その後、球団スコアラーに転身。現役時代とは違う立場でカープを支え続ける白濱さんに、現在の仕事について聞いた。(全2回・第1回) ◆先乗りスコアラーとして、第二の野球人生を奮闘中 2年前に現役を引退して、スコアラーに転身しました。戦力外と言われた時に、鈴木(清明・球団本部長)さんから「スコアラーをぜひやってほしい」という声をいただいたのが、最初のきっかけです。現役引退後はカープに残れる、残れないの2択ある中で、僕自身は残れないという気持ちがあり、引退したらカープは終わりだと思っていました。ずっと野球をやってきていましたし、野球に携わる仕事ができれば……と考えていたので、本当にありがたかったです。 選手時代にスコアラーさんを見ていて、1人ひとりの特徴を落とし込んであるデータを見て、単純にすごいと思っていました。捕手だったので、スコアラーさんと会話する機会が多くありましたが、本当になくてはならない存在でした。選手からするとスタメンでも、そうでないときも、初見の相手に対してはスコアラーさんの情報を元にして試合に臨むので、根拠に近いサインを出すために、必ずスコアラーさんに話を聞いていました。 スコアラーの中でも役割分担がされていて、チーム帯同スコアラーと先乗りスコアラーがいます。僕は現在、先乗りスコアラーです。各スコアラーが担当チームを持っていて、僕は中日ドラゴンズ担当になります。普段の動きは、カープが中日と試合するときには試合中にベンチに入ります。それ以外は、中日戦前の中日の6試合を現地で追いかけています。主にバックネット裏で、パソコンでの入力作業を行いながら試合を見ています。その際、相手投手の球種、打者の打球方向など細かなデータを試合を見ながら入力する、これがメインの仕事となります。 スコアラーになってからは、選手時代より家にいる時間は少ないです(苦笑)。2月から担当チームのキャンプ地にいて、3月は担当チームのオープン戦を追います。開幕後、担当チームがカープと対戦時に、ようやくチームと合流するという流れです。 スコアラーをはじめるにあたり、本格的にパソコンを触ることも初めてでしたし、不安はありました。先輩、後輩スコアラーなど周囲に助けてもらいながら、今仕事をやれています。現役時代と違い、バックネット裏から一歩引いた視点で野球を見ること自体が新鮮です。相手の研究は当たり前なのですが、練習から見ていると「どんな練習をしているのか?」など、いち野球人として日に日に知識が深まっているような気がします。 相手打者を見ることについては、自分で書かなくても全部出てくるのですが、僕は捕手だったので、相手打者のイメージなどは自然に湧きやすい部分はあるかもしれません。 (後編へ続く)
広島アスリートマガジン編集部