中国最大級の音楽フェス「イチゴ音楽祭」開催、日本とまた違う運営方法は?
正直、ここ数年の変遷を見ていると、チケット価格こそ少々値上げしましたが(当初は現在の三分の一程度の価格)、内容に大きな変化はありません。今年のテーマとして日本でも話題になっている「VR」を掲げてはいますが、イベント全体的に大掛かりなVRが取り入れられているというわけではなく、会場内に小規模なVRブースを設けている程度でした。かつ事前にネット予約も必要なため一部の来場者しか楽しめない催しとなっていました。
一方で、音楽だけが全てではなくそのイベント全体をレジャーとして楽しむことが大事なのは日本も中国も同じです。メインステージまで歩く途中にはフリーマーケットのような雑貨や衣服のブースも並び、女性向けの店が大部分を占めています。日本のフェスほど充実はしていませんが、中国のフェスならではで中華系飲食ブースも出展しおり、川沿いのデッキや芝生などでゆっくり過ごすことができます。
各スポンサー企業も大掛かりなブースを出しており、メインステージ後方には冠スポンサーのバランタイン、その横にH&Mとキールズと欧米企業が目立ちました。会場内では酒類はもちろん飲料全体的にあまり豊富ではないので、飲料メーカーの協賛は重要です。昨年はラムのバカルディが、今年はウイスキーのバランタインが重要なポジションを占めています。
これまでのイチゴ音楽祭では日本企業の参加は見かけなかったのですが、今年は花王ロリエもブースを出していました。上海で若い女性層にアピールするには、イチゴ音楽祭は最適な機会の一つです。近年は若い男性層の市場もきになるところですが、やはり上海の若者消費者市場は女性が動かしていると実感できます。
ちなみに、なぜか上海では労働節の全く同じタイミングで複数の音楽祭が別々に開催されています。今年も台湾系アーティストの大きなイベントが浦東空港よりもさらに海よりのエリアで開催され、中心部の静安寺ではジャズ祭、近郊の蘇州・太湖ではインディーズロック最大のフェスとあまりに同類のイベントが重複しすぎています。とはいえ、それぞれが毛色の異なるイベントのため、各人の好みに合わせてリーズナブルに楽しむという意味では、この方式が上海には合っているかもしれません。