“医療従事者向け”保育施設「負担が押し付けられている」…保育士の処遇改善求め労組が会見「医療全体に大きな影響」
「医療全体に大きな影響を及ぼしかねない」
こうした院内保育所で働く保育士の労働環境について、佐々木委員長は「状況が改善しなければ、医療全体に大きな影響を及ぼしかねない」と指摘する。 「ほかと比べて賃金が低ければ、職員を集められません。そして、職員が不足すれば当然、安心・安全の保育を提供することはできなくなります。 さらに、職員不足で子どもを預けられない、院内保育所の運営が難しいとなれば、子育て中の医師や看護師の働く人の数も減ってしまい、そのまま医療の分野でも、病床数の減少や、病棟の閉鎖につながっていくのではないでしょうか」
「負担押し付け」の実態の改善を要求
この日、会見に出席した院内保育所の当事者からは、ほかにも以下のような意見があがった。 ・「委託の場合、保育士は契約社員として雇用されるケースが多く、不安定さから辞めてしまう人が少なくない」 ・「処遇改善がなければ、保育士のモチベーションにつながらず、保育の質が良くならない」 また、この日調査結果の概要を報告した日本医労連の齋藤由美子委員も次のように訴えた。 「厚労省はこれまで、医療従事者の確保のため、子どもを持つ医師や看護師が働けるよう、院内保育所に、柔軟な運用を求めてきました。 その結果、多くの院内保育所が、緊急事態宣言時でも休園せず奮闘してきました。それにもかかわらず、保育士の処遇改善がなく、院内保育所は負担が押し付けられた状態になっています。 医療従事者が安心して働き続けられるためにも、院内保育所の処遇改善を求めます」
弁護士JP編集部