元巨人“神の足”鈴木氏がセパCSを分析。下克上を起こす球団はどこ?
プロ野球セ、パ、クライマックスシリーズのファーストステージが14日から阪神甲子園球場(阪神ー横浜DeNA)、西武メットライフドーム(西武ー楽天)でスタートする。レギュラーシーズンを制した広島、ソフトバンクが順当に日本シリーズへの出場権を手にするのか。それとも2、3位チームの“下克上”が実現するのか。 元巨人で“神の足”と呼ばれた代走のスペシャリスト、鈴木尚広氏は、「総合的に見れば攻走守に隙のない広島、選手層の厚いソフトバンクが勝つでしょうが、セでは、横浜DeNA、パでは、西武が勢いに乗って風を起こす可能性があると思います」というセ・パのCS展望を抱く。 巨人時代にCSを4度、勝ち抜いた経験のある鈴木氏は、「短期決戦は、負けたら終わりの高校野球と一緒です。全員が集中して一つの方向を見つめ、流れをどこでつかむかが重要です。私も巨人時代に流れをつかめないまま4連敗したこともありました。横綱チームを倒すためには、仕掛けと勢いです。その可能性を持っているのが,横浜DeNAと西武なのかもしれません」と続けた。 セでは予告先発がないためファーストステージで激突する阪神と横浜DeNAの両軍は共にまだ先発をカモフラージュしている。そういう展開こそが「ラミレス監督のペース」と鈴木氏は見ている。 「ラミレス監督の現役時代を知っていますが、非常に頭のいい人です。何か奇策を取ってくるのではないでしょうか。思い切ったラミレス采配が見ものです。機動力を使えるわけでもないチームですから、いかに走者をためてから打線を爆発させて打ち勝つか。先行逃げ切りのイメージでしょうね」 3番に打点王のロペス、4番に28本、94打点の筒香、そして5番に首位打者を獲得した宮崎を擁するクリーンナップの破壊力は誰もが認めるもの。その破壊力を生かすも殺すも、1、2番の出塁が重要で、特に1番を打つ桑原がキーマンだという。 「横浜DeNAは、ほぼ固定メンバーです。ラミレス監督は、桑原が打てなくとも我慢して使い続けましたね。選手と監督に信頼関係ができています。それが勢いという名のエネルギーに変わる要素なんです。桑原が信頼に応えて出塁できるかですね。また梶谷の打順は、2番なのか7番なのかわかりませんが、予測不能タイプのバッターなので、はまればシリーズ男に変わる可能性もあります。チームカラーの明るさも勢いにつながります」 横浜DeNAのチーム打率・252とチーム本塁打134は、阪神の・249,113本を上回っている。 一方、阪神に関して鈴木氏は、「故障明けのメッセンジャーが間に合ったのは朗報でしょう。ただチームの勝ち頭である秋山に続いて計算の立つピッチャーが見当たりません。能見も岩貞も投げてみないとわからないピッチャーです。それと若い選手にまだこういうプレッシャーのかかる特別な舞台の経験がないですね。糸井、鳥谷、福留さんが牽引していかなければ苦しいでしょう。去年CSを経験して巨人を倒した横浜DeNAとの違いがそこです。阪神が勝つケースは、先発が、どこまで抑えられるか。6回まで踏ん張ると、今季60試合以上に登板した5人の強力なブルペン陣が控えています。甲子園でやれるというメリットと、ベテランが頼りです」と分析した。 メッセンジャー、秋山、能見、岩貞にメンドーサか岩田がCSローテー候補。6、7回から桑原、マテオ、ドリスに左腕の高橋、岩崎を加えた5人の勝利方程式に持ち込む展開を作ることができれば、阪神の勝率は高まる。