中尾彬さんの訃報に故郷・木更津も涙 行きつけの料理店「地元を愛した粋な人だった」
映画やドラマ、バラエティー番組などで幅広く活躍した俳優の中尾彬(なかお・あきら)さんが、心不全のために16日に死去していたことを22日、所属事務所が発表した。81歳だった。突然の訃報(ふほう)に、中尾さんの故郷である千葉・木更津市でも悲しみが広がった。 渡辺芳邦市長(59)は「亡くなる直前までお世話になった」と2017年から6年半、市のPR大使を務めていた中尾さんに感謝。成人式(二十歳を祝う会)での新成人に向けたメッセージや、市制施行80周年の記念動画への出演、記念誌への寄稿など様々な形で貢献していたという。また渡辺市長自身が中尾さんと同じ高校を卒業していたことから、市長3期目の就任祝いには絵と手紙が送られていたことも明かした。 昨年11月には「何か役に立ちたい」と、中尾さんから絵画38点の寄贈があった。同時期に市役所を訪問した時は元気そうな姿で、「『木更津が明るくなった』とうれしそうに話していた」という。寄贈は「終活の一つ」と話していたそうで「半分冗談かと思っていた」だけに、渡辺市長は突然の旅立ちにショックを受けていた。 同作品は今年3月、市内で展示会が行われたばかり。市は「今後(作品を)どのようにしようかと話していた最中だった」と2回目の展示会を開催するかなどを模索中だったという。 一方、市内で菓子店「御菓子司 平政」を構える平野雅彦さんは、中尾さんの家族と親交があった。中尾さんが東京に住むようになった後も父と弟が営む実家の酒店や中尾さんのアトリエなどがあったという。同店では、いつも水まんじゅうを買っていたそうで「志乃さんが彬さん、お母さん、自分と3人分のお菓子を買いに来ていた」と当時を懐かしんだ。また、テレビ番組のロケで来た際には、中尾さんが「志乃が好きだから」とお土産を買って帰ったという。 また、中尾さんが行きつけだったという郷土料理店「木更津・味処 宝家」の鈴木希依子さんは「商売が大変な時も気にかけてくれた。こわもてだったけど、温かい人だった」と振り返った。先代の店主だった希依子さんの父・義久さんは高校で中尾さんの1つ後輩だったという。店ではよく肉料理を食べていたそうだが、中尾さんが新しいあさり料理を発案したことも。店前ののれんなどには中尾さんの字や絵が描かれており「地元を愛した粋な人だった」と話した。(中西 珠友)
報知新聞社