「失った躍動感」を求めて スイングの現在地/原英莉花インタビュー(後編)
原英莉花が「ダイキンオーキッドレディス」(29日開幕/沖縄・琉球GC)で国内女子ツアー7年目のシーズンを迎える。腰痛との闘いは、昨年の手術、国内メジャー「日本女子オープン」での復活優勝などで一区切りついたが、やるべきことは多い。腰痛の原因ともなり、変えざるを得なかったスイングと「どう向き合い、どう進化させていくのか」。インタビュー後編では、その現在地を聞いた。(取材・構成/服部謙二郎) 【画像】原英莉花 2024年開幕インタビュー前編
ジャンボ尾崎の指摘
「躍動感がないな」 その言葉は、尾崎将司の口癖のようになっていた。原は試合中でも時間があれば、師匠の私設練習場である“ジャンボ邸”に通っていたが、会うたびに同じことを言われた。 原にもその自覚はある。腰痛を抱えてからスイングをマイナーチェンジせざるを得なかった。「少しでも長く続けるために、ニーアクションを減らしていました」。原のスイングのトレードマークでもあるダイナミックなひざの動きは、スピードやパワーにつながるが、動きすぎると安定感を欠くことにもなる。
「なんて言えばいいんですかね、インパクトを安定させたかったんですよ。ひざや足の余計な動きを減らして、スピードというよりはコントロール重視に」。安定感を求めれば、スピードが落ちる。両立は難しい。「自分のパワーを最大限に使って飛距離を出したいけれど、体への負担は減らしたい。そんなことを考えていたら、スピードが落ちちゃった…」 尾崎の指摘に「(けがもあって)仕方ないじゃん」と思うが、やはり「言われて悔しい」との思いの方が強い。「そりゃ安定してきたらスピードを出していきたいですよ」と前置きした上で、「でもスピードを出すには、やっぱりもうちょっと体から作っていかないと。無理にやってコントロールが効かなくなるのも怖いし、若い頃のバネも年々なくなってきている。やっぱり昔はバネがすごかったんだと、最近改めて思います」。25歳になったばかりだというのに、ベテラン選手のようなことを言う。