クマに襲われたか 子牛4頭死ぬ
北海道別海町中春別の「なかしゅんべつ未来牧場」で21日、飼育されていた乳牛の子牛8頭が血を流して倒れているのが見つかった。4頭がすでに死んでおり、残りも瀕(ひん)死(し)のため、殺処分された。クマに襲われたとみられ、関係機関が周囲に注意を呼び掛けている。 同牧場はJA中春別の子会社で、組合員から生まれた子牛を預かり、妊娠まで飼育する業務を行っている。 現場は生後間もない子牛を飼育していた牛舎の一つで、7戸の農家から預かった12頭が飼育されていた。牛舎内は子牛を飼育する木製のハッチで仕切られているが、牛舎の出入り口に扉などはなく、午後5時の終業以降は人の出入りもないという。 同日午前8時ごろ、飼育員がミルクを与えるために牛舎を訪れたところ、倒れている子牛たちを発見。死んでいた3頭はハッチから外に引きずり出されており、うち2頭は内臓を食べられていた。子牛の体には爪痕と噛み跡とみられる傷があり、牛舎内でクマとみられる足跡も見つかった。同牧場周辺では、昨年9月ごろに牧草地でクマを確認したが、今春は確認されていなかった。 被害を受け、中標津署は周囲への警戒活動とともに、農家個別への注意喚起を実施。別海町は道猟友会別海支部と協議し、現地周辺で捕獲用のおりを設置。町の無料通信アプリ「LINE」アカウントで情報を発信し、住民に注意を呼び掛けた。 同牧場でも、当面は餌やりなどの作業を2人で進めていくことを決めた。同牧場の友貞義照専務(63)は「農家さんからお預かりしている子牛。いち早く事態が収束していくことを願いたい」と話した。
釧路新聞