前回選挙で「実」挙げた立憲、共産、社民共闘、今回は「すみ分け」止まりの声も 溝広がる上部組織のあおり受け細る連携 対自民へ結束望む市民グループやきもき
15日公示の衆院選が迫る中、鹿児島県内選挙区に候補者を擁立予定の立憲民主、共産、社民の3党は野党連携に苦慮している。立民の最大の支持組織である連合が共産との連携解消を強く求めているからだ。“すみ分け”だけで精いっぱいとの声も漏れる。 【写真】衆院選に向けた決起集会に参加したALLかごしまと野党関係者=9月15日、鹿児島市
2021年の前回衆院選では立民、共産、社民が県内全4選挙区で候補者を一本化。前職4人を擁立した自民党に、共通政策を掲げる統一候補が挑んだ。鹿児島3区で自民前職を破り、4区は社民の惜敗率が九州ブロック1位だった。 今回も4選挙区に3党いずれか1人の候補を擁立するすみ分けが4月末には実現。「人材難が否めない」との冷ややかな見方もあるが、各党関係者は「候補者調整しなければ自公政権に勝てないという認識は共有できている」と強調する。 ただ、野党連携を取り巻く環境は変化している。7月の東京都知事選で立民と共産が支援した蓮舫氏が敗れたのを踏まえ、連合の芳野友子会長が両党の連携解消を立民の野田佳彦代表に要請。野田代表は「重く受け止める」とし、共産の田村智子委員長は共闘見送りを表明した。 県内3党の関係者も積極的とは言いがたい。立民の柳誠子県連代表は「候補者調整くらいしか今できることはない」と明かす。共産の山口広延県委員長は独自候補のいない選挙区では「立民と社民の候補を支持したい」としつつも、「どこまで動けるか分からない」。社民の川路孝県連合代表は「支援団体に呼びかけをしているが、目の前の準備でばたばただ」と語る。
市民グループ「市民・野党共闘をすすめるALLかごしまの会」は、これまで野党の間に入って結束を呼びかけてきた。今回も、護憲や原発ゼロ社会の実現を盛り込んだ共通政策をグループとそれぞれ結ぶよう3党に求めているが、色よい返事はもらえていない。山下晶子共同代表は「前回と比べて共闘は難しい状況だが、各党をつなぐ役割を果たしたい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島