「先進運転支援システムが検査できなかった」OBD車検っててナニ?
ドライバーズメーターでは警告ランプやメッセージによって異常が確認できるようになっていますが、そのランプ本体が故障してしまえば、異常を確認することが難しくなります。OBDはこうしたことも監視できるため、車両の異常をより高い精度で診断できるのです。 OBD車検では、スキャンツールによって読み込まれた情報はNALTEC(自動車技術統合機構)のサーバーに送られ、そこで「特定DTC(故障コード)」の有無が確認され、合否結果が端末に送り返されます。この特定DTCが1つでも検出されたら「不合格」となり、不具合を修正してから再検査となります。
■対象ではない車種も、法定手数料が400円あがることに
これまでの車検では、コンピューターシステムに関わる検査条項が設けられていなかったため、高度な運転支援システムや安全機能に異常があっても車検を通過でき、公道を走行できてしまう仕組みでした。しかし、OBD車検によって、目視では確認できない不具合を発見することができ、より安心してドライブを楽しむことができるようになるといえます。
OBD車検の義務化に伴い、法定手数料に400円が追加されることになり、OBD車検の対象車以外でも一律徴収されることになります。これは全国の車検場や整備工場が利用する新しい情報システムを運用していくため、また故障診断に必要な情報を自動車メーカーが管理する費用に充てられるのが理由とのことです。 また、OBD車検では、専用の法定スキャンツールが必須となるため、所有していない整備工場では対象車種の車検が受けられない可能性もあります。ご自身のクルマが対象車種かどうか、また普段お世話になっている整備工場がOBD車検を実施できるかどうかを事前に確認する必要もあります。
■まとめ
現在のOBD車検の合否判定では、通信エラーによって不合格の判定がでてしまう可能性もあるとのこと。新しい制度であるため、まだ課題もあるようですが、今後の技術革新や状況の変化に対応しつつ、正確で安心できる制度を確立できるか、期待したいところです。 Text:立花義人、エムスリープロダクション Photo:PHOTO AC、Adobe Stock