キーウで人気のラーメン店「ナウシ」のオーナーのカテリーナ・クシニロワさん（右）とマーケティング担当のアナスタシア・プリサレワさん=2024年9月28日、キーウ、杉山正撮影

　ロシアの侵攻が続く戦時下のウクライナで、日本式のラーメンが進化を続けている。戦争に翻弄（ほんろう）されながらも、「日本の味」を極めようとする人たちがいる。 【写真】「日本の味」を突き詰めたウクライナのラーメン 　ウクライナに初めて本格的なラーメン店がオープンしてから10年も経たない。歴史は浅いが、ラーメンの人気はいま、急速に広がる。戦時下で新たにオープンした店もある。 　キーウの人気店「ナウシ」はその一つだ。 　ラーメン店とは思えないバーカウンターを備えたしゃれた店構え。オーナーのカテリーナ・クシニロワさん（32）は「ウクライナ人にとって、店の雰囲気はとても大事」と語る。内装は自身がデザインしたのだという。 　カテリーナさんが夫のイワンさん（40）とキーウに1号店を出したのは4年前。旅行先などで食べたラーメンに魅了され、出店を思いついた。イワンさんが単身日本に渡って3カ月間、修業した。自宅アパートと車を売り、製麺機を日本から取り寄せての挑戦だった。 　日本で学んだレシピ通りに作る。ラーメンのスープはウクライナ人には塩辛く感じるが、「本物」にこだわる。店は繁盛し、昨年12月に2店舗目をキーウ中心街に開いた。戦時下の出店について「私たちは挑戦が好きだから」と言った。 　夫婦2人で始めたラーメン店はいまやスタッフ26人を抱え、製麺機で作った麺を他店に販売するようになった。 　物流が滞り、ナルトの輸入が難しくなるなど、ロシアによる侵攻の影響は至るところに表れる。だが、挑戦を続ける。「ラーメンに使うしょうゆをウクライナで醸造したい」と目を輝かせた。（キーウ＝杉山正）