J1首位・町田が筑波大に敗北 主力4人重傷の黒田監督「コメント」の真意【天皇杯2回戦で分かった日本サッカーの現在地と問題点】(1)
■4人もの負傷者は「不幸な事故」の連続か
さて、話題を町田の試合に戻そう。 前述のように僕自身はハイライト映像しか見ていないのだが、実際に観戦した何人かの友人たちの意見を総合すれば、筑波大学もプレー強度の高い試合をしたものの、それほどラフなプレーをしていたわけではないようだ。また、レフェリーのコントロールに大きな問題があったわけでもないらしい。 要するに4人もの負傷者が出たのは、不幸な事故の連続だったようだ。 問題は試合後の記者会見で黒田監督が、どうしてあのようなコメントをしたのかだ。 人一倍、勝負にこだわる黒田監督だから、格下相手の敗戦が受け入れられず、感情的になって相手チームに対する批判が口をついて出てしまったのかもしれない。しかし、黒田監督はインタビューやコメントでの言葉の選び方には気を遣っている人で、そんな感情的にしゃべる方だとは思えない。 大学チームに敗れたことによって選手たちが自信を失って悪い影響が出ないように、あるいは外部からの批判が選手たちに向かわないように、わざと話題を試合そのものからそらすようなコメントをしたのかもしれない。それが、おかしな方向に発展してしまったのは、彼の計算外の出来事だったろうが……。 しかし、いずれにしてもJ1リーグで優勝争いを行っている町田にとっては、選手4人が負傷で離脱してしまったのは大きな痛手ということになる。
■天皇杯は「下位チーム本拠地」で開催すべし
Jリーグで戦っているチームにとって、天皇杯というのはある意味で非常にリスキーな大会であり、また、得るものも少ない。格下相手のカップ戦で勝利したとしても、得るものは少ないからだ。 筑波大学との試合は2回戦屈指の好カードだった。しかし、町田GIONスタジアムに集まった観客はたったの1948人。どう考えても、選手にとってもクラブにとっても、モチベーションの上がる試合ではない。 J1リーグの首位決戦であれば、負傷者が出ても納得できたかもしれないが、“こんな試合”で重傷者が続出したのでは監督がグチの一つも言いたくなるのは当然かもしれない。 ところで、天皇杯は基本的に上位チームのホームで行われているが、これは再考が必要ではないだろうか。 今シーズンからJ2、J3クラブも出場するようになったJリーグYBCルヴァンカップでは基本的に下位チームの本拠地で開催されている。上位チームからは不満の声も出ているようだが、下位チームの本拠地はかなり盛り上がったようだ。 天皇杯も、これに倣ったらどうだろう。 J1クラブのサポーターにとって、JFL勢との戦いでは大きな興味は持てないだろうが、逆にJFL勢が本拠地にJ1クラブを迎え撃つことになったら、地域全体の関心が集まるはず。多くの観客が集まれば、スポンサーも集まりやすくなり、下部リーグのクラブ経営のためにも役に立つはずだ。
後藤健生
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