ネットの出会いはSNSからゲームへ
子どもがネットを使い始めると、「危険な人物と知り合ってしまうのでは」と不安になります。これまでは、「X」や「Instagram」などのSNSで知らない人と出会い、「LINE」に誘導されることが多かったのですが、最近は出会いの入り口がゲームへと変化してきています。 2024年6~7月、ニフティキッズが小中学生を中心とした子どもたちに行ったアンケート※でも、その傾向が見て取れます。「ネッ友(ネットで知り合った友達)」がいる人に対して、「ネッ友と知り合ったきっかけを教えて!」と質問したところ、第1位には、小学生の51.5%、中学生の38.0%が「ゲーム」と回答しています。 ※ニフティキッズ「子どものホンネ 調査レポート」 オンラインゲームでは、ボイスチャットなどを使って交流しながらゲームを進めます。かわいいアバターで毎日のように会話をし、協力し合うため、親しくなりやすいのです。 きっかけの第2位は、「LINEのオープンチャット」で、小学生の15.4%、中学生の35.8%が出会っています。LINEのオープンチャットとは、通常使っているLINEアカウントと別に、匿名のアカウントで交流できるサービスです。趣味や年代などで分かれたグループでチャットなどで交流します。 割合を見ると、小学生は主にゲーム、中学生になるとLINEのオープンチャットで出会っている傾向が分かります。ゲームではボイスチャットが多用されるため、トラブルがあっても親が後から確認できません。ボイスチャットはリビングなどで行うようにし、トラブルになりそうなときは早めに介入しましょう。LINEのオープンチャットはかなり活発に交流しています。まだ試したことがない親御さんは、ぜひ一度どこかのオープンチャットに入って、そのスピード感を体験してみてください。
「ネッ友」の利点もあるが
もちろん、ネットで出会うこと自体が悪いわけではありません。「ネッ友と実際の友達、どちらの方が居心地がいい?」との設問では、わずかながら「実際の友達」が多い結果で、それぞれ居心地が良いと感じる理由が異なっています。実際の友達とは「直接会って話せる」「信頼できる」という理由が多く、ネッ友では「年齢関係なく仲良くなれる」「素の自分を出せる」などが挙げられています。どちらの友人にも良い面があるのでしょう。 きっかけの第3位は、小学生が「TikTok」(13.7%)、中学生はX(20.1%)です。TikTokは13歳以上しかアカウントが作れないため、この小学生たちは正しい年齢で利用していないことが分かります。中学生の4位にもTikTokが入っています(16.6%)。コメントで会話をしている可能性もありますが、個人的な交流に欠かせないDMは16歳以上でなければ利用できないため、年齢を偽って登録しているのかもしれません。 TikTokと同様に、Instagramや「YouTube」も年齢に合わせて機能やコンテンツの制限をしています。安全のためには正しい年齢でアカウントを作成すべきです。しかし、年齢は基本的に自己申告なので、すり抜けてしまう子どももいます。利用するゲームやサービスの年齢制限は何歳なのか、お子さんが正しい年齢で登録しているのか、一度確認しておきましょう。また、フィルタリングで子どもが何のアプリを使っているのかを把握しておくと安心です。 出典:日経パソコン、2024年11月11日号より 鈴木 朋子=ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー 日立ソリューションズにてシステムエンジニア業務に従事、のちフリーライターに。SNS、スマホ、パソコン、Webサービスなど、入門書の著作は20冊を越える。ITの知見と2人の娘の子育て経験を生かして、子どもの安全なIT活用をサポートする「スマホ安全アドバイザー」として活動中。近著は「親が知らない子どものスマホ」(日経BP)、「親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本」(技術評論社)