EV界の風雲児「ヒョンデIONIQ 5 N」が、ついに日本にやってきた!
バッテリーの性能制御を徹底している。サーキット走行の際、ラップタイムを狙うのか、周回数をかせぐのか、目的に合わせてバッテリー出力を調整する機能がある。上記、いずれかの目的によって、最適なバッテリー温度を事前に設定することが可能。 停止状態から最大加速で性能でスタートできるローンチコントロールを使うと、最大で静止から時速100kmまでが3.4秒と、スーパースポーツカーなみの速さ。これがEVの妙なのだ。ハンドルに設けられている赤いボタンを押すと、バッテリーとモーターの性能を最大化することができる。
私は、24年4月下旬に、千葉のサーキットで行われたメディア向け試乗会に参加。そのとき、上記のローンチコントロールと「NGB(Nグリン・ブースト)」を体験できた。そもそも力があってハンドリングがよいことに加えて、目をみはるばかりのパワー感。 車内外に大排気量のエンジン車をイメージしたサウンドを流すことができる。仮想変速という機能では、本来、ピュアEVなので段数のないギアボックスだが、パドルを使うと、ギアをシフトダウンしたような音の高まりと、軽いショックが伝わってくる。
ドリフトオプティマイザーなる特筆すべき機能もそなわる。起動させると、前後タイヤの駆動力を配分を自動的に調整。ぼんっと強めにアクセルペダルを踏み込むと、前輪を軸に後輪が前に進む。そこで少しだけアクセルペダルの踏み込みを甘くすると、ドリフト状態にもちこめる。いとも簡単。
「IONIQ 5 Nは、ハイスピードEVでなく、ハイパフォーマンスEVです」。今回のメディア試乗会のタイミングで日本を訪れたNブランドのヘッドであるバイスプレジデントのティル・ワルテンバーグ氏は、現場でそう言った。直線の速さを競うのでなく、操縦を楽しむ。まさにその言葉どおりの出来だった。
といっても、サーキットだけがIONIQ 5 Nの居場所ではない。ワルテンバーグ氏は「サーキットとともに、一般道でも扱いやすい。ドライバーの好みに合わせてさまざまなキャラクターに変更可能です」とする。 EVのひとつの可能性を極限まで押しひろげたといえるIONIQ 5 N。「いちど乗ってもらえれば好きになってもらえる」(ヒョンデ・モビリティ・ジャパンでマーケティング/PR/カスタマーエクスペリエンスセンター担当のイム常務)という言葉もある。それにうなずける試乗体験だった。 日本での価格は「900万円前後」を予定しているという。限定50台のファーストエディションの予約もはじまっている。
Specifications Hyundai Ioniq 5 N 全長×全幅×全高 4715×1940×1625mm ホイールベース 3000mm モーター前後1基ずつ 全輪駆動 最高出力 478kW 最大トルク 770Nm バッテリー リチウムイオン84.0kWh 価格 未定 Hyundai Mobility Japan
文:小川フミオ 写真: Hyundai Mobility Japan