東山義久が明かす、『BOLERO ─最終章─』と共演者三浦宏規への思い
憑依しつつ、冷静でいられる。三浦宏規は稀有な存在
──1作目の公演から約11年。振り返ってみて、ご自身で大きな変化を感じられることはありますか。 当初はおこがましいなと思っていたけれど、素晴らしいメンバーが集まってくれたので、やってもいいのかなという気持ちになりました。2016年の2回目も、(DIAMOND☆DOGSでともに活動した)辻本(知彦)や島地(保武)という戦友がいてくれた。あの光景はすごく素敵でした。今回は8年ぶりの『BOLERO』ですが、あの時の僕といまの僕とでは経験値が全く違う。たとえば、2年前にミュージカル『ミス・サイゴン』で演じたエンジニア役。「アメリカン・ドリーム」というナンバーを歌った時のその光景が、『BOLERO』の時とすごく似ていたんですよね。あの孤独感と緊張感の中でエンジニアをやり遂げることができたのは、多分『BOLERO』があったから。そうしてキャリアを積んだ僕が、今回宏規と一緒に見る景色を、とても楽しみにしています。 ──三浦宏規さんとの共演で楽しみにされていることは? 一緒に演じることで僕が教えられること、逆に彼から学ぶこともあるはず──親子くらいの年齢差だけど(笑)。彼ほどダンスに特化したミュージカル・スターはいません。憑依型のダンサーですが、客席にむけてワーッと踊って、ふっと後ろを向いた時にベロを出せるタイプ──って、わかります(笑)? 憑依しつつ、冷静なんです。稀有な存在ですね。 今回宏規が演じるのは、僕に憧れを抱いている青年という設定です。蘭乃はなさんと宏規は姉弟で、ともに僕に憧れている。そこに生まれる様々な感情や関係性をドラマティックに表現できれば。宏規とふたりで踊ったら、きっと綺麗なデュエットになるんじゃないかなって思います。 ──振付を手掛ける方々も多彩ですね。 毎回いろんなジャンルの音楽が出てくるので、自ずと振付家の人数は多くなる。いわば異種格闘技戦! ダンサーで初回から参加してくれているのは(長澤)風海ひとりだけで、初参加のダンサーが大半です。バレエダンサーもいれば『ミス・サイゴン』のドラゴンダンサーとして活躍した、アクロバットが得意な人たちも! 皆がそれぞれの得意なジャンルを見せ合うので、すごく楽しんでいただけるんじゃないかな。もう全員、俺より上手いですから(笑)。 ──最後にあらためて、本作の注目ポイントを教えてください。 皆さまにぜひ、ダンサーたちの可能性を見ていただきたいんです。そのうえで、皆さまにミュージカルの舞台に足を運んでいただけたらなと思っているんです。『BOLERO』は今回で最終章を迎えますが、宏規や他のダンサーたちが、また新しい『BOLERO』を作っていってほしいなとも思います。皆もそのつもりで取り組んでくれているはずですし、観客の皆さまにはそんな個々のダンサーの命の煌めきを感じていただけたら! 取材・文:加藤智子 撮影:源賀津己 <東京公演> ENTERTAINMENT DANCE PERFORMANCE『BOLERO-最終章-』 公演期間:2024年7月18日(木)~25日(木) 会場:有楽町よみうりホール