「ジャイアントキラー」なシビック・タイプR 「サーキット前提」の911 GT3 RS BBDC 2023(2)
多様性が現れる11台 驚くような番狂わせは?
グレートブリテン島中西部のウェールズ州、スノードニア国立公園。何年もの間、素晴らしい景観を、変化に富んだ天気とともに筆者は謳歌してきた。案の定、BBDC選手権の季節は天気が優れない。 【写真】英国ベスト・ドライバーズカー(BBDC)選手権 2023 ノミネート車両11台と審査の様子 (70枚) 一般道を走り込む初日は、雨混じりの曇り。だが、明日以降はしっかり降るらしい。 地元の警察には連絡済み。速そうなクルマが連なり、カーブを高速で駆け抜けても、職務質問を受ける回数は減るだろう。 普段通り、ノミネート車両のことを聞かずに初日を迎えた。仮に耳に入ってきても、すぐに忘れるよう務めると思う。どんな展開になるのか、現場で目の当たりにする方が楽しく過ごせるからだ。 ダークブルーのアウディRS7を運転し、指定された駐車場へ到着した時、先に停まっていたのはトールマン・エディション205 GTiだけだった。どんなクルマが排気音を響かせながら接近してくるのか、期待が膨らむ。 採点前から、明らかな優勝候補は含まれているだろうか。例年、ノミネート車両の価格差は大きく、番狂わせも珍しくない。すべてのクルマに、頂点を掴む可能性がある。 BBDCの特長の1つが多様性。シャープなスタイリングに2.1tの車重を持つRS7と、1980年代のピニンファリーナ・デザインをまとい、895kgしかないエディション205 GTiの2台だけでも、その事実が表れている。 駐車場までの道のりで、RS7の印象はある程度確かめられた。めっぽう速いが、重くてぎこちない感覚が伴った。それでも、想像できるノミネート車両へ負けないくらい、優れているとも感じた。
ジャイアントキラーのシビック・タイプR
2台のBMWが、遠くから近づいて来るのがわかる。どちらもプラットフォームは同じ。最高出力は異なるが、6気筒エンジンもベースは共有している。価格が2倍ほど違う、BMW M3 CSとM2 クーペだ。 これまでのBBDC選手権では、BMWの評価は明暗が分かれてきた。先代のM2 コンペティションのように、素晴らしい得点を得たモデルもあれば、M4 GTSのように、期待へ届かないモデルもあった。 新しいM2では、サスペンションは柔軟さを増し、トランスミッションは6速マニュアル。自在に振り回せる後輪駆動のシャシーを備え、一般道では有利かもしれない。速度域の高いサーキットでは、動力性能で勝るM3 CSが力を発揮するだろう。 アルピーヌA110 Rは、ベーシックなA110より優れているだろうか。AUTOCARでは登場以来、A110へ夢中になってきた。「R」はさらに軽量化され、空力特性が磨かれ、ハイグリップなタイヤを履いている。サスペンションも煮詰められている。 車重は、たった1082kg。望ましい仕上がりなら、どんなにパワフルなスポーツカーを持ってきても、敵わないように思える。 ジャイアントキラーという点では、遅れて駐車場へ到着した、日本製ホットハッチの方が当てはまるかもしれない。AUTOCARでは、歴代のホンダ・シビック・タイプRを褒め称えてきたことは、ご存知の通り。 優れない天候でチャレンジングな道を走るなら、ベストな選択肢になることを我々は体験してきた。最新型にも、それが当てはまるはず。