赤れんが造りの旧富雄変電所で解体工事が進む…一部はミシュランシェフの店舗に活用
東大寺近くに移転し、「ミシュランガイド奈良」の「二つ星」として名をはせるようになった今も、扉と床材の一部は当時のものを使う。宙さんは「まさに原点の地。この建物がなければ、今の我々はない」と感謝する。
曲折を経ながらも14年まで活用されてきたが、所有する近鉄不動産(大阪市)が解体を決定。現行の耐震基準では既存不適格にあたるのが理由で、「昨今の地震などの状況を鑑みて判断した」という。
往時を知る人は名残を惜しむ。田中さんは「見るといつも父を思い出した。なくなるのは寂しい」と語り、友紀さんは「街の新しいシンボルにつながる何かが生まれてほしい」と期待する。
地上部分は既に取り壊され、9月までに全体の工事も終える予定だ。跡地利用について、同社は「時機をみて様々な検討をしていく」としている。