恐怖のマンション“乗っ取り”制度「第三者管理方式」の導入が静かに進んでいる…!【マンション管理クライシス】
「これはとんでもない制度ですよ。こんな制度がうちのマンションで導入されたら、不要な工事がどんどん行われ、ゆくゆくは管理費や修繕費も上がってしまうでしょう。しかし、住民は理事会負担がないと喜んでいるだけで、問題点には全く気付いません」 【一覧】いまマンションを「買っていい街」「ダメな街」を実名公開する こう言うのは、関東の築20年のマンションを所有する男性だ。管理会社からは理事会負担のない「第三者管理方式」の導入を提案されているという。なお、国交省では「第三者管理者方式」という呼称について、3月末に「外部管理者方式」に修正している。(*記事内容は編集部が保証するものではありません。実際のマンションの状況に合わせて考え方を参考にしてください)
「第三者管理方式」とは
この方式の主流のケースでは、これまでマンション管理組合による自治活動の運営を行っていた理事会を廃止し、理事長が兼任していた管理の責任者である「管理者」ポストを、委託先の管理会社社員が“第三者”の立場となって務める、というものだ。 以前から、所有者が居住しない投資用マンションやリゾートマンションでは採用されていたが、理事会負担や理事のなり手不足の解消のためとして、近年では、一般的なファミリータイプのマンションでも第三者管理方式への切り替えが徐々に進んでいる。すでに管理物件の3割に達する大手の独立系管理会社や、分譲時から第三者管理を採用する財閥系の新築マンションも増え始めている。 別所マンション管理事務所の別所毅謙氏が言う。 「今までの理事会方式では、管理会社が提案する小さな工事を実施したり、備品一つを購入する場合でも、理事会の承認が必要でした。第三者管理の方式は複数ありますが、主流の“理事会廃止型”は、理事会業務の負担回避を目的に、理事会自体を設置しないということなので、普段の運営に関しては住民側のチェック機能がありません。管理者ポストに就く管理会社は、実質的に独断で、顧客マンションの管理運営に対する意思決定ができるようになるのです」 管理会社は、工事業者などからの事実上のキックバックで工事からも利益を得られる。つまり、管理組合のお金の使い道を自ら決めることで、「利益をあげ放題」ということになる。 そう。『中立的な利害関係者以外』を意味する”第三者”を冠した制度名称だが、実際にはサービスの売り手側の利害関係者にあたる管理会社が、顧客である管理組合予算の執行権を掌握する管理方式になってしまっているのだ。制度名称と、中身は完全な真逆と言っていいだろう。