『フリーダムウォーズ』リマスター版が2025年1月9日に発売決定、高速戦闘のマルチプレイアクションがPS5、PS4、Switch、Steamで甦る【動画付き先行レビュー&開発者インタビュー】
2024年9月2日~3日、バンダイナムコエンターテインメントはゲームメディアを対象にした新作タイトルのプレゼンテーション及び、 先行プレイ体験会、プロデューサーインタビューを開催した。『FREEDOM WARS Remastered(フリーダムウォーズ リマスター)』も、当日取り上げられた注目タイトルのひとつだ。 【記事の画像(19枚)を見る】 本作は、2014年に発売されたプレイステーション Vita用のアクションゲーム『FREEDOM WARS(フリーダムウォーズ)』のリマスター版。プレイステーション5、プレイステーション4、Nintendo Switch、PC(Steam)で2025年1月9日に発売予定(PC版は2025年1月10日発売予定)。 まずは、リマスター版の特徴や体験会の模様をお届けしよう。さらに、ゲームの魅力を凝縮したプレイ動画や、開発プロデューサーの塚本高史氏とディレクターの関哲之介氏のメディア合同インタビューも公開。最後までぜひチェックしてほしい。 なお、オリジナル版の『FREEDOM WARS』が発売されたのは10年前ということで、そもそもどんなゲームか知らない方や、プレイしたけど記憶がおぼろげという方も少なくないだろう。該当する方は、下記の記事をチェックしてから読み進めるのがおすすめ。 リマスター版の変更点の3つの大きな柱 『FREEDOM WARS』を現代向けにリマスターするにあたって、大きく変更されたのは下記の3つだ。 高解像度化に対応難易度バランスの調整一部システムの変更 グラフィック面ではテクスチャとムービーを高解像度化しており、PS5版とPC(Steam)版は4Kに対応。さらに、Switch以外のハードは60FPSにも対応しているという(※Switch版は30FPS)。 グラフィックの高解像度化に併せて、UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)をブラッシュアップ。オリジナル版は携帯ゲーム機のPS Vitaで発売されたこともあり、操作方法が現代向けに最適化されているほか、メニュー画面などのUIやゲーム中の挙動なども調整されている。 また、ゲームの難易度に加えて、仲間と敵のAI(人工知能)のバランスも調整。さらに、生産機能は全面改良されており、武器強化システムの改修や武器属性効果の調整、拠点機能の改修も実施された。 つまりリマスター版は、現行機のハードに合わせたスペックで、バランス調整やシステム改修などが行われており、オリジナル版よりも快適にプレイできるようになっているというわけだ。 時代にうまくマッチさせたプレイフィール ここからは、実際に体験したリマスター版の手触りをお伝えしよう。今回の体験会はPS5版で行われ、試遊範囲は“第3階層 ボランティア5”(※メインストーリーの序盤から中盤)からプレイ可能な状態だった。 リマスター版をプレイして最初に驚かされたのは、グラフィックの美麗さ。PS Vita版をプレイしていた筆者から見ても、グラフィックは格段に美しくなっており、もともとキャラクターのデザインが先進的でオシャレだったことも相まって、古臭さはまったく感じなかった。 当然ながら、主人公やアクセサリと呼ばれる相棒の見た目もますます美麗に。オリジナル版でこれらのカスタマイズに熱中したように、リマスター版でも熱が入りそうだ。 つぎは操作性に関して。久しぶりにボランティアと呼ばれるクエストに挑んだものの、プレイできる時間が短かったこともあり、正直、筆者自身は新しい操作方法に完全に慣れるまでには至らなかった。 とはいえ、リマスター版の操作方法に不満を感じたというわけではない。PS Vitaのときよりも多くのボタンを使えるようになったことで、複雑なボタンの組み合わせはなくて操作しやすいと感じた。 具体的にいうと、 L3:移動/ダッシュR3:カメラリセット/カメラ操作□:リロード△:武器変更×:回避◯:アイテム使用L1:荊射出L2:エイム(狙う)R1:弱攻撃R2:強攻撃 といった感じで、ボタン配置にもあまり違和感はない。ちなみに、操作設定メニューを開けば各アクションを自由に割り当てられるので、オリジナル版に似せたボタン配置にもできるそうだ。 そもそも『FREEDOM WARS』は、オリジナル版もアクションが多彩で慣れるまでに時間がかかった記憶がある。アクションゲームが得意な編集者の北埜トゥーンは、あっという間に新しい操作方法に慣れて、荊(いばら)を使ったかっこいいアクションをつぎつぎに決めていた。もうちょっとプレイすれば、おそらく筆者もコツをつかめるはず。大画面の美麗なグラフィックで、荊の高速アクションを堪能できる日が待ち遠しい。 ほかには、生産機能のシステムが格段に遊びやすくなっているのも好印象。武器の生産や強化などは、プラントと呼ばれる施設を建設して行うのだが、オリジナル版ではプラント関連の作業に待ち時間が発生していた。リメイク版ではこの待ち時間がなくなり、ストレスフリーに。武器のカスタマイズは、オリジナル版以上に沼にハマりそうだと手応えを感じた。 『FREEDOM WARS』の続編を作りたいという想いからリマスター化が実現 記事の最後に、本作を手掛けるディンプスの塚本高史氏と関哲之介氏のメディア合同インタビューを公開。塚本氏はオリジナル版でディレクターを勤めており、リマスター版では開発プロデューサーを担当。関氏はリマスター版のディレクターを務めている。 そんなふたりに、10年の時を経て『FREEDOM WARS』が復活した経緯や、オリジナル版でパワーアップしたところ、新たに追加された要素などを伺った。 塚本 高史(ツカモト タカシ): ディンプス所属。オリジナル版のディレクターで、リマスター版では開発プロデューサーを担当。文中は塚本。 関 哲之介(セキ テツノスケ): ディンプス所属。リマスター版のディレクター。文中は関。 バンダイナムコエンターテインメントとのタッグが実現した理由 ――『FREEDOM WARS』を10年ぶりに復活させた経緯を教えてください。: 塚本 :10年前に 『FREEDOM WARS』を発売した後、続編を作りたいなといろいろ考えていましたが、なかなか実現する機会がなくて……。 今回、我々からバンダイナムコエンターテインメントさんにお声がけして、10年目の節目にようやく機会に恵まれました。リマスター版は開発を我々ディンプスが行い、バンダイナムコエンターテインメントさんにはプロデュースをお願いしました。2025年1月の発売に向けて開発を進めています。 ――オリジナル版は、当時のソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されました。今回、バンダイナムコエンターテインメントとタッグを組むことになった経緯は? 塚本 :ディンプスのチャレンジとして続編を出したいという思いで動き出した中、リマスター版の開発をソニー・インタラクティブエンタテインメントさんにご了承をいただき、ライセンスを受けてパブリッシャーを探していたところ、バンダイナムコエンターテインメントが手を挙げてくださいました。 ――ゲームの舞台は資源が枯渇した世界で、主人公は“懲役100万年”の咎人(トガビト)など、当時としてもかなり尖っていたと思います。このような世界観はどのような発想から生まれたのでしょうか? 塚本 : 『FREEDOM WARS』のアイデアの発端は、みんなどこかで監視・管理されているんじゃないかという話を原作のシフトさんからお聞き時はものすごく核になる部分としておもしろいと思いました。管理されているということは、すごく窮屈ですよね。窮屈なことをよりわかりやすく表現するためには、どうしたらいいのか。 話し合いを行う中で、いいことをすることで、自由を少しずつ勝ち取れていくようにしたらどうだろうというアイデアが出て、そこからものすごい懲役を少しずつ返していく遊びのサイクルを考えつきましました。 さらに、監視されていることをプレイヤーに意識させるようにしています。懲役を食らうことを極端に表現するために、歩いても懲役、寝ても懲役、異性としゃべっても懲役といった制限を作ったところ、よりディストピア感が高まって、本作独自の世界が生まれました。 この世界ではこんなに自由が少ないんだ。だからこそ、権利を解放して自由を勝ち取るとこんなに気持ちいいんだと感じてもらえるところに、うまくつなげられたのかなと思います。また今作はシフトさんにもいろいろと応援していただいています。 ――アクセサリのボイスに合成音声を選んだ理由は? 塚本 :いまでは合成音声を耳にする機会は多いと思いますが、オリジナル版発売時(10年前)に合成音声を使うのはかなりのチャレンジでした。当時、合成音声にチャレンジした裏には、アクセサリに好きな言葉をしゃべらせるというのがあったんですね。 アクセサリはプレイヤーの監視者で、自分を管理する側のアンドロイドなんですけど、権利を解放していくと「救助してください」、「戦ってください」といったセリフを、自分好みのセリフに変えられるようになります。セリフを変え始めると、アクセサリにだんだん愛着が湧いてきて、監視されているのに好きになっていくという、変な気持ちを味わってほしかったんです。 最終的に「俺の嫁!」というところまでいくと、背徳感ではないですけど、そういった感覚が新しいプレイフィールを生むのではないかと思いました。それが当時、遊んでくれた多くのユーザーに刺さっていたのではないかなと手応えを感じています。 関 :アクセサリのボイスは、オリジナル版ではデフォルトではひとつだけでしたが、リマスター版では男女ごとに4パターンずつ、合計で8パターンのボイスを最初から選択できます。 ――10年前に発売された『FREEDOM WARS』を蘇らせるにあたって、世界観とゲームシステムのどちらに勝算があると考えていますか? 塚本 :もちろん、世界観とゲームシステムのどちらも勝算があると感じています。とくに世界観に関していうと、 『FREEDOM WARS』のようなディストピアな作品はほかにもあると思いますが、“100万年の懲役”や“奪還のボランティア”、アクセサリなど、本作には魅力的な設定が数多くあります。 10年前にも海外でチャレンジしましたが、当時は日本とアジアが中心。ワールドワイドではなかなか認知されなかったこともあって、いま手に取ってもらえれば、「こんなゲームがあったのか!?」と、新作のような気持ちで遊んでもらえるのではないかと。ボランティアを通して少しずつ自由を勝ち取っていくところも刺さってくれるのではと期待しています。 リマスター版はいまの時代に合わせて快適さを追求 ――オリジナル版からパワーアップしたところを教えてください。: 関 :オリジナル版を遊ばれた方の多くは、武器の強化まわりのシステムは運要素が強くて不満を感じていたと思います。いまの時代にそのまま出すのはしんどいなと考えて、プロジェクトが決まった段階で、武器強化のシステムは絶対に改善したほうがいいと提案しました。武器の強化やキャラクターの成長システムは、アクションRPGとして楽しみやすくなかったかなと手応えを感じています。 ――AIの挙動はどのような調整を行っているのでしょうか? 関 :オリジナル版は、人間の敵が非常に強かったという問題があって、当時のユーザーさんからもかなりのご意見をいただきました。改めて自分でも敵キャラクーの動作を確認してみたところ、移動しながら高精度のエイムで攻撃を仕掛けてきたので、いわゆる通常エネミーにしてはかなり強いな、と。 通常エネミーはプレイヤーに倒されるのが役割のひとつではありますので、気持ちよく倒せるような形に再調整を行っています。その延長として、リメイク版では通常エネミーが回復アイテムや戦闘用のアイテムをドロップします。アイテムドロップはほかのゲームでは一般的な仕様だと思いますが、オリジナル版にはなかったので、通常エネミーを倒す楽しさのゲームデザインを全体的に見直しました。 ――PS Vitaから現行機に落とし込むにあたって、とくに苦労したところは? 関 :開発期間も含めますと、オリジナル版は10年以上前のタイトルになります。古いデータのふたを開けて、何がどうなっているのか、把握するところから始めるのは非常に苦労しましたね。ひとつひとつ紐解きながら開発を進めるのは、リマスターらしい苦労かなと思います。 ――オリジナル版とボタン配置がかなり違うなと感じました。新しい操作系統はどのように作っていったのですか? 関 : 『FREEDOM WARS』は、TPS(三人称視点のシューティング)と呼ばれるジャンルのゲームになると思いますが、PS Vitaでは多彩なアクションに対してボタンが足りないという悩みがあったんです。 オリジナル版では操作タイプを複数用意してカバーしましたが、現行機はボタンが増えたこともあり、一般的なTPSの操作にしたほうがより多くのユーザーが遊びやすいだろうと考えました。L2で狙ってR2で撃つといった操作を軸として、操作系統を再構成し、本日体験していただいたようなボタン配置になっています。 ちなみに、もとの操作設定に戻せるような機能は搭載していませんが、操作設定は自由にカスタマイズできますので、そこでオリジナル版の配置に変えていただくこともできます。 ――オリジナル版では実現できなかったけど、リマスター版では実現できた要素はありますか? 塚本 :オリジナル版のときに入れられるものは入れたつもりではありますが、リマスター版は海外のユーザーにもっと広めたくて、英語ボイスを新たに収録しています。アクセサリのボイスも英語対応していますので、英語圏の方たちにも、アクセサリボイスのカスタマイズを楽しんでいただけるようになっているのも、ひとつのポイントかなと思います。 ――エンディング後のストーリーを追加したかったという思いは……。 塚本 :すごくやりたかったんですけど、リマスター版を開発するにあたって、原作のストーリーはなるべくいじらないようにしようと決めました。今回はリマスターという形で皆さんにお届けすることができましたが、もしも続編などを出すとなったときに、続きのストーリーを楽しみにされている方もいると思います。つぎの機会をいただけるようであれば、ストーリーはそこに賭けたいなと考えています。 ――新たな武器や敵なども追加されていないのでしょうか? 関 :武器や敵の追加は行っていませんが、曲は増えています。オリジナル版は“プロパガンダアイドル”と呼ばれるキャラクターが歌って踊るプロモーション展開を行っていました。バーチャルアイドルのようなものですね。ゲームの発売後も新曲をリリースするなどして活動していて、その楽曲がゲームの中でも楽しめるように追加しています。 また、リマスター版には、オリジナル版のときにいろいろな形で展開した追加コンテンツが収録されています(諸事情で収録が難しかった一部を除く)。オリジナル版で追加コンテンツをすべて揃えていた方は多くないと思うので、リマスター版でお楽しみいただければうれしいですね。 ――リマスター版は、異なるハードでのクロスプレイに対応していますか? 塚本 :クロスプレイには対応していません。各ハードでオンラインプレイができるようになっています。 関 :補足をすると、PS5とPS4に関してはマッチングとランキングが共有されていますので、クロスプレイが可能になっています。 ――オリジナル版には、47都道府県に分かれて序列を競う要素がありました。本作のモニターにも順位が表示されていましたが、海外の勢力はどのようになるのでしょうか? 塚本 :オリジナル版では世界地図で所属する勢力をわけていましたが、リマスター版は日本をテーマにしていますので、日本以外の地域でも日本の地図で遊んでもらう予定です。 [2024年9月18日17時00分修正] 記事内の一部表現を修正いたしました。