「病による悲しみ減らしたい」と孫正義氏 SBG、がん治療プラットフォームの米Tempusと合弁会社設立
日本では年内でのサービス開始を目指す
合弁契約は7月にもクロージング予定。SB TEMPUSは8月1日に始動する見込みという。出資比率は50:50で、それぞれ150億円を出資(資本金は300億円)するとしている。ソフトバンクグループの孫正義氏(代表取締役会長 兼 社長執行役員)は、3つのサービスのいずれかを日本でも2024年内に開始したいと述べる。 まずは、がん治療に関して国内トップの13病院と連携。順次、提携病院数を増やしていき、数年以内に日本のがん患者の50%のデータを集約・AI解析したいとする。また、SB TEMPUSの設立当初から、Tempusが保有する米国770万人のがん患者データを日本でも利用可能という。 日本では、外科治療や放射線治療、薬物療法などの科学的な根拠に基づいた「標準治療」から、がん治療を開始するケースが多い。遺伝子検査や分子/臨床/病理/医療画像データといった、医療現場で分断されているデータを収集・解析することで、副作用の軽減や薬剤の有効性を向上させるなど、患者ごとに適した治療方針の提案に繋げられるとしている。 孫氏は今後のAI技術の急速な進歩に言及し、4年ごとに1000倍のペースで性能が向上すると予測。「メディカルサイエンスとデータサイエンスの融合によって、メディカルASIの世界を作るべきだ」(ASI=人間を超越した人工知能)と述べ、「まず癌において、そこから心臓病や高血圧などありとあらゆる分野に対して、人の命を救う、人の悲しみを少しでも減らすことが有益だと僕は思う」と語った。 なお、標準治療のあとに遺伝子検査を行う今の流れと異なり、Tempusを利用する場合、データ解析やパーソナライズ治療のために遺伝子検査が必須になる。遺伝子検査の保険適用について孫氏は「どこまで保険適用すべきかは議論があっていいと思う」とも述べている。
ITmedia NEWS