金田一京助の手紙がテーマの企画展 生涯にわたる研究と人柄を読み読み解く
企画展「金田一京助の手紙~手紙から伝わる人柄~」が現在、盛岡てがみ館(盛岡市中ノ橋通1)で開かれている。(盛岡経済新聞) 【写真】京助の生涯を語る上で欠かせない友人・啄木との関係を取り上げる資料も 金田一京助が文化勲章を受章して今年で70年になることから企画した同展。京助の生涯や業績のほか、手紙や原稿などの66点の資料から見える面倒見の良さや人柄について取り上げる。 展示は京助の生い立ちから石川啄木との出会い、アイヌ語の研究、家族、文化勲章の受賞と晩年について順に紹介。京助の生い立ちについては、伯父・勝定との関りについて触れ、勝定の援助を受けてアイヌ語の研究に取り組み、京助が勝定のことを「私のアイヌ語学の産婆」と呼んでいたことなどを取り上げる。 「京助の生涯を紹介する上で啄木の存在は欠かせない」と担当学芸員の中野千恵子さん。2人のつながりを示す資料として石川啄木研究家の吉田孤羊から届いた啄木についての質問に答える手紙や、啄木の没後に京助の手元に残った啄木の形見から同じ下宿で過ごした思い出を振り返る原稿「錐(きり)と瓶」を展示する。 京助が尽力したアイヌ語の研究については、アイヌ語に興味を持つきっかけや研究での苦労、アイヌ民族に伝わる叙事詩「ユーカラ」の研究などに触れ、修学旅行でアイヌ文化を学ぶことになった16歳の高校生に宛てた手紙や、アイヌの人々との交流を書いた随筆「心の小道をめぐって」を紹介する。 展示の後半では京助の家族について取り上げ、自身の見合いについて書いた手紙や、長男の春彦に召集令状が届いた悲しみを伝える手紙、小樽から妻の静江と春彦に送った絵はがきなどを展示。静江や春彦に送ったはがきでは、春彦を「坊や」と呼び、「坊やは変わりないか、けがをさせないように」といった内容が書かれている。 展示を見るポイントについて、中野さんは「字もじっくり見てもらいたい。字の読みやすさからも京助の人柄や言語学者らしさも感じられると思う」と話し、「京助の優しさ、一つのことに没頭してしまうところ、時には悲しみや苦労を抱えながら『自分がやらねば』という思いでアイヌ語の研究を続けた思いに触れてもらえれば」と呼びかける。 来年2月10日まで。 同館の開館時間は9時~18時(入館は17時30分まで)。入館料は、一般=200円、高校生=100円、中学生以下と市内在住の65歳以上は無料。第2火曜休館。
みんなの経済新聞ネットワーク