<センバツ>それぞれの思い胸に 入場行進のチーム先導へ センバツ23日開幕
「平成最後の甲子園」となる第91回選抜高校野球大会が23日に開幕する。開会式の入場行進でチームの先導役を託されるのはベンチの外の野球部員や、マネジャーたちだ。それぞれの思いを胸に甲子園の土を踏みしめる。 【写真特集・イチローの軌跡】愛工大名電、オリックス時代の写真も ◇父は甲子園制覇の立役者--東邦の山田さん 東邦(愛知)のプラカードを手にするのは、野球部員で応援団長を務める山田斐祐将(ひゅうま)さん(3年)。父喜久夫さん(47)は1989年の第61回大会で同校のエースとして活躍し、「平成最初の甲子園」制覇の立役者に。卒業後はプロに進んだ。 山田さんは幼いころから周囲に「お父さんはすごい人なんだ」と言われてきたが、父は多くを語らず実感が湧かなかった。 その父の勧めで東邦へ進学した。中学時代は軟式野球部に所属しており、慣れない硬球での練習や走り込みをこなすことで精いっぱいの日々。それでも、父が口にする「自分ができることを一生懸命やれよ」という言葉を忘れず、練習に励んできた。 センバツ出場校が決まる直前の今年1月。冬休みに久しぶりに祖母の家を訪れた際、父が「聖地」のマウンドに立っている写真を目にした。「甲子園に出られるのは、必死で練習してきた一握りの学校だけ。お父さんはその頂点に立ったんだ」。全国大会を本気で目指す立場になって、父が成し遂げたことの大きさを初めて感じた。部屋にあった使い古しの父のグラブが、輝いて見えた。 今大会、選手層の厚い東邦でメンバー入りはかなわなかったが、チームへの献身的な姿勢が認められて入場行進の先頭に指名され、スタンドでは応援団長も任される。「選手と応援で立場は違うけれど、声で『平成最後の優勝』に貢献したい」。22日に開会式のリハーサルを終え、大舞台への決意を新たにした。【高井瞳】 ◇唯一の女子部員が先頭に--石岡一の浜田さん 21世紀枠で選ばれた初出場の石岡一(茨城)では、チームで唯一の女子部員、浜田芽里(めりい)さん(2年)が先頭に立つ。マネジャーや生徒会長という立場ではなくプラカードを担当する女性としても、今大会でただ一人だ。男子部員に交じってひたむきに練習に取り組む姿勢が評価された。 石岡一の野球部員だった長兄(20)と次兄(18)の影響で、小学1年から野球を始めた。中学の野球部では正二塁手として活躍。兄の背中を追うように、同校に進んだ。 「女子プロ野球選手になる」。そう誓い、練習メニューは男子部員とほぼ同じ。高校では腕力や走力の違いを実感する。それでも、体力差を少しでも埋めようと短距離ダッシュや体幹トレーニングを重ねている。 チームは第3日、春夏通算15回目の甲子園出場の盛岡大付(岩手)と初戦に臨む。「弱そうに見えたら嫌なので堂々と歩きたい」。負けず嫌いな性格をのぞかせ、大舞台を待つ。【川崎健】