横浜FC、地元小への授業きっかけに交流深めてグッズ制作…児童たちが奮闘、Jクラブ地域密着の好例に
J2横浜FCが3月9日の山形戦(ニッパツ)で、地元小学校への授業をきっかけに制作したタオルマフラーを試合会場で販売する試みを行った。地域の子どもたちにサッカーを通じて貴重な社会体験の場を提供できたことは、Jリーグが掲げる「地域密着」を体現する新しい形のモデルケースになりそうだ。 * * * 横浜FCでは、横浜市保土ケ谷区の練習場「横浜FC・LEOCトレーニングセンター」から最も近い市立坂本小とSDGsの取り組みを中心に交流している。昨年度、4年生(新5年生)とは「総合的な学習」の時間に行った「手紙の書き方教室」をきっかけに、児童が練習見学をして選手らに応援メッセージはがきを送るなど、子どもたちの成長に協力してきた。 その中で、4年生(当時)のあるクラスで「地域と一緒に横浜FCを応援したい。その応援で勝利を導くことできれば、地域が笑顔で暮らせるのでは」と児童が議論。子どもたちの熱意を受け、デザインからクラブと一緒に考えた「フリ丸×坂本小 Fightタオルマフラー」を販売することになった。 横浜FCはこれまで様々な企業とコラボレーションを行ってきた経験はあるものの、子どもと一緒に作り上げるのは初めて。実際に商品を作る苦労なども伝えながら、子どもたち自ら、グッズのデザインを練り上げた。スケジュール管理、デザイン案、著作権、制作費用と販売価格、告知方法なども説明。1つずつ、タスクをこなしていった。 意欲的な子どもたちは、商品化するだけでなく、告知動画もパソコンを駆使して制作にも乗り出すほど。そして試合当日には販売にも参加した。「こんな経験ができるのは一生に一度しかないかもしれない。完売することが目標」と目を輝かせ、特設ステージでPRも行った。 サッカーボールを追いかけるマスコット「フリ丸」と、「Fight」の文字があしらわれた特製タオルマフラー100枚は約2時間で見事に売り切った。学校とクラブが協力したことで、子どもたちにとって貴重な社会体験の場を提供することができた。 児童らは「みなさんに買っていただきうれしい。横浜FCが勝てるように一緒に応援したい」と興奮気味に話し試合観戦すると、チームは山形に2―1で勝利。最高のご褒美も付いて、充実の学習を終えた。 年度が替わっても、引き続き地元密着の活動は継続される。横浜FCの担当者は「これからも地域の子どもたちを応援しながら一緒に地域に根差した活動を続けていきます」と地元・横浜と共に生き続けることを誓っていた。
報知新聞社