「政治とカネ」広島で舌戦 与野党幹部、相次ぎ遊説
衆院選(27日投開票)公示後から24日にかけて、与野党幹部が広島市内に相次いで応援に入った。自民党総裁の石破茂首相は連立を組む公明党の候補者と街頭演説を展開。野党代表たちもそれぞれの公認候補の支持を訴えた。終盤戦を迎える中、与野党ともに「政治とカネ」問題で失われた有権者の信頼回復に向けて攻防を強めている。 <ビジュアルニュース>衆院選2024 第2回トレンド調査 小選挙区投票先、野党系が与党系を上回る 石破首相は24日、広島3区に「与党統一候補」で立つ公明党前職の応援のため安佐南区で演説した。自民党派閥の裏金事件に触れ「いかなる理由でも政治資金収支報告書に記載がないことはあってはならない」と陳謝した。一方で党による非公認候補の党支部への資金提供は正当性を訴えた。 広島3区は2019年の参院選広島選挙区での大規模買収事件の主犯となった元自民党衆院議員の地盤。地元の有権者には「政治とカネ」問題への拒否感が根強くある。 17日には公明党の山口那津男前代表も同じ場所で党前職と演説。野党が「裏金の温床」として廃止を説く政策活動費について「自民党も野党も使い道を明らかにしない。公明党は一切渡していない。だから本当に廃止を言える資格があるのは、公明党しかない」と声を張り上げた。 これに対し、野党4党は有権者の多い市中心部で「政治とカネ」問題への批判や改革の必要性を主張した。 「皆さんの税金から、裏金議員に活動資金を何千万円単位で与えている」。立憲民主党の大串博志選対委員長は23日、広島1、3区の党新人と中区の街頭に立ち、自民党が非公認候補の党支部に資金提供した点を批判。「裏金問題は私たちの日々の生活に密接に関わっている」と述べた。 日本維新の会の馬場伸幸代表も同日、広島2区の党新人と西区の駅前で演説した。国会議員に月額100万円支給され、領収書の公開義務がない調査研究広報滞在費に言及し「原資は全部税金だ」と指摘。党は自主公開しているとし「他の党は屁理屈(へりくつ)を言ってやろうとしない」と強調した。 この日は共産党の田村智子委員長も中区の街頭に姿を見せ、党公認候補4人と並んでマイクを握った。党の公約で全面禁止を掲げる企業・団体献金に関し「国民の願いや意思が封じられ、カネで政治がゆがめられてきた。カネまみれの政治を一掃していこう」と政治改革の推進を唱えた。 選挙戦終盤に再燃した自民党派閥の裏金事件。国民民主党の玉木雄一郎代表は24日、西区で広島2区の党新人と街頭演説し、自民党による非公認候補側への資金提供を非難。一連の「政治とカネ」問題に関し「税金は一生懸命働いて払ってくれた納税者のもの。その点を今の政治が忘れているからおかしいことになっている」と憤った。
中国新聞社