【毎日書評】相手とのコミュニケーションを円滑にする声の磨き方・伝え方
初対面で相手にどんな印象を持たれたいかと問われたとき、多くのビジネスパーソンは「信頼されるような印象を与えたい」というように“信頼”を口にする──。 そう指摘するのは、『一流のエグゼクティブが実践する 初対面から信頼関係を築く 第一印象の磨き方』(丸山ゆ利絵 著、日本実業出版社)の著者。「エグゼクティブプレゼンス」の専門家として、経営者やエグゼクティブ(経営幹部)、士業の方々をコンサルティングしている人物です。 「エグゼクティブプレゼンス」とは、「上に立つ人の資質」「リーダーシップの重要なパート」とされる存在感や雰囲気、風格や重みを指します。 簡単に言えば、「できる」「プロフェッショナル」「頼りがいがある」「影響力」「オーラがある」と連想させるような、自然に信頼や期待を引き寄せる「感じ」のことです。(「はじめに」より) しかし単なるイメージアップではなく、ビジネス先進国においてはリーダーシップを構成する要素として認識されているのだとか。経営者や管理職などキャリア上級者に欠かせない、第一印象で相手の信頼を獲得するスキルの正体だというのです。 身につけるのが難しそうにも思えますが、後天的に習得できるビジネススキルだそう。リーダーとしての責任感を持ち、社会的な評価や信頼を手に入れたいと能動的に考える人であれば、身につけることができるようです。 印象は、理性という人間が知覚できる意識の領域ではなく、もっと奥深い感情や本能といった領域に作用します。ですから、相手と会って話し始めるときには、すでに印象が相手の感覚に作用し、あなたに対する考えや評価すべてはすでにその印象に影響されています。(「はじめに」より) こうした考え方に基づく本書のなかから、きょうは第7章「声と話し方を選ぶ」に注目してみたいと思います。
声を磨くと信頼感につながる
ビジネスパーソンにとって、信頼を築くうえで大切な要素のひとつが話し方。なかでもまず重要なのは、人の耳に聞こえる“音”としての声や話し方です。 第一印象は瞬時に形成されます。印象は視覚だけでなく聴覚など視覚以外の語感から得られる情報によっても左右されます。見た目だけでなく、とくに声や話し方といった聴覚情報もあなたの印象を決定します。(180ページより) 人の第一印象はその人の無意識に作用し、以降の判断や評価の基点となるもの。こちらの声を聞いた相手が最初に「聞きやすい声」だとか「話し方がうまそう」などの印象を持つと、その後の話を聞く姿勢、評価や判断にもよい影響が期待できるということです。 また、声や話し方は第一印象だけでなく、話す場面すべてでその内容への評価を左右する可能性があります。たとえば、ぼそぼそと細い声で話していると、不安定さや自信のなさとなって伝わり、価値の高い内容でも十分に伝わらないことがあります。(181ページより) 内容とイメージが一致しない話し方では、訴える力が弱くなってしまうということ。逆に、声や話し方に自信をつけることができれば、それ以外の部分にも無意識のうちに自信がつくものだとも考えられます。そのため、いろいろな意味で信頼感を得ることができるわけです。(180ページより)