もがき続けた5年間 復活Vの河本結が明かす米ツアー撤退と母の涙
◇国内女子◇NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 最終日(11日)◇軽井沢72G北コース(長野)◇6685yd(パー72)◇晴れ(観衆4000人) 【画像】弟・力も「感動して泣きそう」 もがいてきた――。河本結の5年間を表現するこの言葉に、異論をはさむ人はいないだろう。2019年「アクサレディス」で初優勝を遂げると、ジュニア時代から夢見てきた米ツアーに翌年から参戦。1年目は2度のトップ10入りを果たしたものの、日本と異なる芝質への対応やスイング改造を行ったことで“迷走”し、21年5月に米ツアーからの撤退を突如表明した。 「もう、ここ(米ツアー)ではやっていけないって思っちゃった。ゴルフをやめたいわけじゃないけど、離れたくなった」と日本に帰ってきた。食事が喉を通らない日もあり、体重は5キロ減った。 その決断に、SNSをはじめとして心ない言葉も投げかけられた。「すごく病んだ」と落ち込む日々。国内ツアーのシードも喪失し、翌22年の出場権は前半戦しかなかった。「帰るという選択をした自分もだけど、帰ってきてからも全然戦えなかった自分にもう情けなくて。何やっているんだろう、って。情けない」と自分を責める状態が続いた。
昨年も活躍できず、年末の最終予選会(QT)で4位に入り、2024年前半戦の出場権を確保するのがやっとだった。 河本は当時のことを、涙をこらえ切れずに振り返る。「帰路に車の中で母が『何もしてあげられなくて、ごめんね』って言って、泣いたんです。大号泣で。その涙を見て、24年は“勝負の年”だなって」 「自分のゴルフの向き合い方が甘かった」と考え直し、「コーチとかに頼ることはやめて、自分でスイングを考えて自分でどう動きたいのかって、全部自分で決めるようにして。考えるようにしたのがすごく大きかった」。今季は前週までの20試合中、12試合でトップ10に入り、今週ついに復活優勝を遂げた。 世界を目指す思いは今も変わらない。米国参戦には「やっぱり、悔いはある。まだまだアメリカに行きたいって思う気持ちはあるし、メジャーで勝ちたいっていうのもある。でも、今はやるべきことはあるし、そのやるべきことをやって、結果としてもう一回アメリカに行けたら最高。前回とは違う挑戦をできるかもしれない。その時の自分の位置を見たい」と吐露した。 ところで、バーディを一つも奪えなかった最終日にはやや不満顔。「まずは来週、早くバーディが欲しいです」と笑った。(長野県軽井沢町/石井操)